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2005年6月7日 
第162回国会 衆議院 郵政民営化に関する特別委員会
案件:郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(35分)

郵政民営化特別委員会で、6月7日(火)に質問をしました。当初は前日の予定だったのですが、その日の竹中大臣の答弁が問題になり、審議が止まってしまって翌日になったのでした。

この日の質問は、民主党の方針を受けて、法案提出までの手続き的な問題点について指摘をしました。中央省庁等改革基本法33条1項6号の解釈で、過去の郵政大臣が答弁している内容と現在の政府が答弁している内容が食い違っている点について尋ねたところ、竹中担当大臣も、細田官房長官も、適切な答弁ができず、結局は、政府見解を後日出すと言うに止まりました。答弁ができなくなれば審議の前提が欠けるので、残念ながら質問をそこで打ち切りました。

このほかにも、内容以前の手続き的な問題点は、日本郵政公社法24条〜27条で定める「中期経営計画」の4年の途中で民営化を強行することなどがあり、これから確認する必要があります。「この調子では、いつになったら内容の議論ができるのか」と思いました。

(衆議院議員中村てつじ 〜プレス民主号外vol.25より〜)


[2] 質疑項目

(1)民営化法案の委員会審議における大臣答弁について

  ア 答弁責任を有する大臣の判断基準
  イ 民営化法案の解釈に係る答弁が有権的解釈として通用するものであることの確認

(2)民営化法案の提出前に中央省庁等改革基本法第33条1項6号を削除する必要

[3] 会議録抜粋 

○中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 委員長にまず確認をさせていただきたいと思います。先ほど、山花委員の質疑の最中に、委員長からお話がありましたことの確認をさせていただきたいと思います。自見大臣、野田大臣、八代大臣などの過去の大臣の答弁と現在の政府の見解との整合性は、政府から改めて理事会の方に回答させるということでよろしいですね。

○二階委員長

 そのとおりで結構でございます。

○中村(哲)委員

 あわせて、野田さん、自見さん、八代さんを参考人としてこの委員会でお話を、橋本さんも小里さんも、参考人として改めて意見を聞かせていただきたいと考えておりますが、お願いできますでしょうか。

○二階委員長

 後刻、理事会で協議いたします。

○中村(哲)委員

 私は、自分の質問をたくさん用意しておるんですが、今までの質疑の中で議論されている論点について再び確認をさせていただいてから、自分の質問をさせていただこうと思っております。

 今出てきた論点と申しますのは、中央省庁等改革基本法の三十三条一項六号の問題、公社法二十四条の中期経営計画の問題、それから国家公務員共済の厚生年金への移管の問題、この三点の問題を議論させていただいた上で、私が金曜日、事前通告させていただいた論点に入っていこうと思います。そういう構成でいきたいと思います。

 それでは、まず中央省庁等改革基本法三十三条一項六号のお話に入らせていただきたいと思います。

 中央省庁等改革基本法案の質疑における小里大臣に相当する、今回の法律である郵政民営化法案の質疑における担当大臣は竹中大臣である、その理解でよろしいですね。

○竹中国務大臣

 御指摘のとおり、私が担当の大臣でございます。

○中村(哲)委員

 これは細田官房長官に聞かなくてはならないのかもしれませんが、それでは、先ほどの細田大臣の答弁を前提にすれば、ここにいらっしゃる大臣のお話というのは、法律に関係のある、条文に関係のあることをおっしゃったとしても、それは政府としての統一した見解ではない、そういう御理解をされているということでよろしいでしょうか。

○竹中国務大臣

 法案については、一義的に私が御答弁をさせていただくということだと思っております。

○中村(哲)委員

 いや、私の質問にきちんと答えてください。竹中大臣の答弁が法案の答弁であるというのは、それは理解しておりますよ。私がお聞きしたのは、ほかの大臣がこの法案について御見解を述べられたときは、それは個人の政治家としての見解であるというふうに政府が思っていらっしゃるのかどうか、そこのことを確認させていただいているんです。そこの点、いかがでしょうか。細田大臣、答えられないでしょう。竹中大臣、答えられないんでしょう。

○竹中国務大臣

 法律の一義的な解釈等々、私の担当だと思います。そのほかの質問については、その質問の内容とかによるのではないかと思います。

○中村(哲)委員

 ほかの、場合によるとは、それはどういうことですか。どういう場合ですか。内容によるとは、どういう内容の場合をいうのですか。それと、さっきの官房長官の答弁との整合性を、きちんと答えてください。早く答えてください。

○竹中国務大臣

 郵政民営化は、内閣の最重要課題でございますから、各省に関連する問題がございます。その関連する問題等々については、これはそれぞれの御担当の大臣がいらっしゃるというふうに承知をしております。

 今回の提出させていただいている法案につきましては、私が担当大臣として御答弁をさせていただくということだと思います。

○中村(哲)委員

 それでは、関連する内容については各省庁が答弁する、各省庁に関連する内容については各省庁の大臣が答弁する、それは拘束をするということでよろしいですね。

○竹中国務大臣

 これはもちろん内容によりますが、関連するそれぞれの大臣について、公社法を所管される麻生大臣、銀行法を所管される伊藤大臣、そして財政を預かる谷垣大臣、そして国土交通関連の北側大臣、それぞれの御担当で、御担当の法律等々がございますし分野がございますから、その範囲において御答弁をさせていただくということだと思っております。

○中村(哲)委員

 その理屈であると、当時の自見郵政大臣というのは、中央省庁等改革基本法において、郵政省の関連している内容について、専門としているのが郵政省であったわけですから、当然、有権的解釈権が郵政大臣たる自見大臣にあるということになるじゃないですか。その点について、それでよろしいですね。

○竹中国務大臣

 郵政大臣の所管の法律についてはそのとおりであろうと思います。

 先ほど、私、銀行法について、金融について金融担当大臣は総理大臣からその任を受けてそれを担当するものでありますので、厳密な意味での所管ではございません。金融庁長官になります。御指摘のとおりでございます。

○中村(哲)委員

 私の問いに答えてくださいよ。

 中央省庁等改革基本法の担当大臣は自見大臣だったわけでしょう。先ほど竹中大臣の御答弁された内容を中央省庁等改革基本法の質疑に当てはめれば、郵政の改革については、専門大臣である、郵政大臣である自見大臣が有権解釈権があるということじゃないですか。それの、今のそういった理論的帰結と、先ほど官房長官がおっしゃった内容との整合性について、きちんと説明をしてください。

○竹中国務大臣

 行政改革基本法の御担当は小里大臣であったというふうに認識をしておりますが、その他の問題も含めまして、先ほど委員長から、きっちりと過去の発言について整理せよという御指示がございましたので、今の委員の点も踏まえまして、しっかりと整理をさせていただきたいと思います。

○中村(哲)委員

 有権的解釈権があるかどうかということを聞いているんです。その一点だけでも答えてくださいよ。

 それなら、もうここでは答えることができないと言っているわけですか。――では、もう一度。

 それでは、先ほどの質問に戻りますけれども、中央省庁等改革基本法で小里大臣に相当するのが、今回の郵政民営化法案では竹中大臣であるという御答弁がありました。そして私は、それならば、ほかの質疑に対してはどうなんですか、ほかの省庁の大臣はどういうふうな解釈権があるのですかということで、有権解釈権については、ほかの大臣の関連している内容についてはその大臣に有権的解釈権があるというのが竹中大臣の御答弁でした。

 では、そうじゃないというのなら、どういう内容ならば、竹中大臣ではないほかの大臣が御答弁されたことが政府の見解になるんですか。

○竹中国務大臣

 私は、それはその法律、ケース・バイ・ケースで、その質問の内容にもよると思いますので、ケース・バイ・ケースだというふうに申し上げているわけでございます。

○中村(哲)委員

 だから、ケース・バイ・ケースというのは、法律の解釈でそんなのありませんよ。

 それでは、野党の議員は、政府提出法案に対して質疑をやっているときに、あなたは、それは個人的な見解ですか、それとも政府の見解ですかと一々確認をして聞かないと、政府の解釈であるか確定的な答弁はいただけないということでよろしいですか。

○竹中国務大臣

 御提出している法案について、一義的に答弁をするのは私でございます。

○中村(哲)委員


 私は、竹中大臣に一義的に答弁権があるということを議論しているのではありません。それは当然の前提として、ほかの大臣が答弁されるときにどの場合が政府の見解なのか、そのことについて、それじゃどのように野党の議員は判断すればいいのか、そのことについて基準をお聞きしているんです。

○竹中国務大臣

 それぞれの御担当の問題は、それぞれの御担当の大臣がお答えになる。それは、どの大臣がお答えになるべき問題かということに関しましては、これはまさに質問の内容等、ケース・バイ・ケースだと思いますというふうに申し上げているわけでございます。

○中村(哲)委員

 私がお聞きしているのは、どういう場合においては大臣の見解が政府の見解になるのかということを言っているんです。ケース・バイ・ケースというふうに答えられたら、それなら、このケースはどうなんですか、政府の見解なんですか、それともあなたの、それこそきのう竹中大臣がおっしゃった、政治的信条なんですかと一々聞かないといけないんですか。そのことを申し上げているんですよ。

 国務大臣が国会において答弁するということは、どんな内容でも政府を代表して答弁されているんでしょう。自分の個人的な見解だというふうなことを改めて断らない限りは政府の答弁なんでしょう。それは当然じゃないですか。何がケース・バイ・ケースなんですか。それじゃ、憲法論から言いましょうか。冗談じゃないですよ。

 答弁、修正なさいませんか。

○竹中国務大臣

 私のキャパシティーでお答えできるのは、私がこの問題の担当大臣であるということ、そして、それぞれ関連する問題については御担当の大臣がお答えになるということ、私のキャパシティーで申し上げられるのはそのことだと思っております。

○中村(哲)委員

 いや、あなたが答えられないでだれが答えられるんですか。(発言する者あり)

○二階委員長

 御静粛に願います。

○竹中国務大臣

 私が申し上げていますのは、それぞれの大臣の所掌に属することはそれぞれの大臣がお答えになる、そして、それが、お聞きになる問題がどの大臣の所掌なのかというのは、それはケース・バイ・ケースでございましょうというふうに言っているわけでございます。

○中村(哲)委員

 私が申し上げていることに対して、答弁の内容が変わっております。

 それじゃ、竹中大臣、今、ケース・バイ・ケース、そのケース・バイ・ケースの内容というのは、扱っている内容について専門性が違うから、その専門性によって大臣が答えられるということをおっしゃいましたね。だから、答えた大臣というのは専門性を持っていること、自分の担当であるということで答えた大臣については、おっしゃった大臣の答弁というのは政府の答弁であるということで理解してよろしいですね。

○竹中国務大臣

 所掌の問題について、その政策的な問題、ないしはその法律を所掌している大臣でございましたらその解釈等々、それは御指摘のとおりなのだと思います。

○中村(哲)委員

 だったら、中央省庁等改革基本法案の質疑のときに郵政大臣たる自見大臣がおっしゃったことというのは、専門性に基づいて郵政大臣が答弁なさっていることということでありますから、政府の答弁であるということを申し上げているんです。もうこのことは、それでよろしいですね。

○竹中国務大臣

 中央省庁等改革基本法の問題に関しましては、先ほど委員長から御指示がありましたように、しっかりと整理して統一的な考え方をお示ししたいと思います。

○中村(哲)委員

 この問題については、以上の答弁を前提に政府見解をもう一度理事会に出されるということですので、ここで納得というか一段落、ひとまずおいておきましょう。

 三十三条一項六号のこと。細田大臣、いらっしゃいましたから、一点だけ確認しておきますよ。

 細田官房長官におきましては、先ほど山花委員の質問に対して、食糧庁とかそういうわけのわからない例を出されました。それでは、官房長官、一点だけ確認しておきますよ。三十三条一項六号の規定というのは、「民営化等の見直しは行わないものとすること。」ということで、明文で規定がされております。では聞きますが、食糧庁とか公正取引委員会の場合に、名前を変えないとかそういった内容のことはどこかに規定されていますか、法律に。

○細田国務大臣

 一項六号というのは、あくまでも郵政公社の設立の方針についての規定でございますので、その後のことを言ったとは思っておりません。

 そして、条文上の問題でいえば、公正取引委員会の所管が総務省であるということについて、当時の議事録を調べれば、なぜ総務省なのかということをさんざん議論しているはずです。その後も、公正取引委員会のあり方を見直して内閣の方に移したときも議論しているはずです。

 したがって、その基本法というものの性格については先ほど来あるいは昨日来申し上げているとおりでございまして、公社を設立する、しかもそれは法律をもって設立するわけですから、その後のことまで規定しているとは私は依然として考えておりません。

○中村(哲)委員

 きちんと質問に答えてください。私は、三十三条一項六号と同じような規定が公正取引委員会や食糧庁においてもあるのかどうかということを聞いているんです。ないんでしょう。

○細田国務大臣

 ですから、民営化の議論は、条文上の議論は、あくまでも郵政公社について規定することは法文を見れば明らかであります。だからこそ皆さん方は、国会の議論で、主務大臣がどう言ったとか、そういう方にまずよって……(中村(哲)委員「あるかないかで答えてくださいよ」と呼ぶ)議事録のことを言っているんですよ。これは……(中村(哲)委員「法文のことを言っているんですよ」と呼ぶ)関係がございません。

 つまり、この一項六号は郵政公社を設立するときの考え方を言っているということは政府の公式見解でありますから、その条文を……(中村(哲)委員「何を言っているんだ。法文にあるかないかを聞いている」と呼ぶ)そうではありません。(発言する者あり)

○二階委員長

 御静粛に願います。

○細田国務大臣

 その条文を変える必要があるかどうかの問題については、あたかも公正取引委員会や食糧庁や日本学術会議と同じように、変えていない、行革基本法を変えなければ対応できないということではなくて、あくまでも国権の最高機関である立法府の考え方だ、こういうことを申し上げているわけでございます。

○中村(哲)委員

 委員長、今、あるかないかということを私は聞いているんです。それについての答弁がありません。きちんと答えさせてください。

○細田国務大臣

 あるかないかというのは、ないに決まっているじゃないですか。それは条文をごらんになればわかるじゃないですか。何でそんな何遍も聞くんですか。

 ただ、なぜないか、なぜあっても変えられるかということを申し上げているんです。

○中村(哲)委員

 法律のことを余り御存じないようですので……(発言する者あり)

○二階委員長

 お静かに願います。質問中はお静かに願います



○中村(哲)委員

 あなたは法律の専門家じゃないようですから申し上げておきますけれども、別表三の公正取引委員会とか食糧庁というのは、別に変えちゃいけないという規定はないんですよね、今官房長官がおっしゃったように。

 しかし、郵政の公社化については、三十三条の一項の一号から五号で公社化についての基本方針は書いてあるわけですよ。わざわざ入れたのがこの六号なんです。六号は、だからここは、「民営化等の見直しは行わないものとする」ということで、改めて縛っているんです。ここが食糧庁や公正取引委員会とは違うところなんですよということをお伝えしているんです。これを、もう憲法論までいってお話しするというのは、私も本当に情けない思いがしておるんですけれども。

 では、内閣が国会に法案提出を認められるその根拠法というのは何ですか。内閣の法案提出権を定めている法律上の根拠は、何法の何条ですか。

○細田国務大臣

 憲法だと思いますけれども、ちょっと何条か存じませんが。

 ただ、ちょっと誤解があると思いますよ。先ほど来、六号の問題は、公社化についての考え方を示したものであるということは何遍も総理大臣初め答弁しておりまして、そのことについておかしいとおっしゃっている意味はわかっているんです。わかっているけれども、おかしくないと申し上げているので、そこは見解の相違であると思っております。

○中村(哲)委員

 内閣法の五条のところにこのような規定があります。「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。」つまり、内閣提出の法律案というのは内閣法五条で規定されているんですね。内閣法の五条の規定については、これは大体、憲法で、内閣に法案提出権があるのかどうかということは憲法上の議論になっています。御存じのとおりです。

 憲法の規定を読みますと、憲法第四十一条「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」国の唯一の立法機関ということでありますので、それじゃ、法案提出権というのは議会にある。それで、なぜ内閣にあるんだということは憲法学上の議論になっているわけですよ。

 それで、何でこの本を持ってきたかというと、有斐閣の「憲法2」という本なんですけれども、これは日本で法律を勉強される学生の非常にメジャーな法律書なので、これをお持ちしたんですが、そこにどう書いてあるかというと、「国会が、法律により、内閣に提出権を与えることは、国会の自己拘束として、議員自身による提案の一定の制限と同様に、憲法の禁じるところではないと解するのが適切であろう。内閣に法律案提出権を認めている内閣法五条は、かかる憲法解釈を基礎に理解できよう。」こう書いてあるわけです。

 つまり、自己拘束、国会の自己拘束として、内閣に法案提出権を内閣法五条で認めているというのが、憲法解釈、憲法学上の通説なわけですね。それを見解の違いとか言われるんだったら問題があるんですけれども。

 内閣法五条というのは、違法の状態で出されている、つまり、国会が改めて、中央省庁等改革基本法三十三条一項六号で民営化を行わないと改めて書いている、つまり内閣を改めて拘束している、そういった条文があるにもかかわらず法案を提出するというところまで認めていないんですよ。それが憲法学上の解釈の帰結なんです。それを見解の相違だと言うんですか。

○細田国務大臣

 そういう解釈をするために内閣法制局もございますので、津野内閣法制局長官が、公社化以後のことまでも規定したものではないと解されるということを国会に答弁を申し上げているわけで、この見解に基づいてお出ししているわけですから、特に、そういう議論、憲法論について無知で出しておる、そういうことではございません。(発言する者あり)

○二階委員長

 速記をストップしてください。

    〔速記中止〕

○二階委員長

 速記を起こしてください。

 中村哲治君。

○中村(哲)委員

 今細田大臣がおっしゃったことは、形式的な理由なんです。私が申し上げた憲法解釈を否定する実質的な理由について、きちんと論理立てて説明をしてください。

○細田国務大臣

 どうも趣旨が理解できませんが、内閣法制局は、国会でも何遍も、既存の法律、憲法を含むあらゆる法律の解釈を、政府としてどのように考えているかということをただし、国会からもただし、そしてそれに対して有権解釈を出す責任ある役所であります。そこの、責任ある役所の長官が、津野内閣法制局長官時代でありますけれども、これが公社化以後のことまでも規定したものではないと解されるということを言っておりますから、内閣法制局長官の解釈そのものが違うんだとおっしゃるのかどうかはわかりませんけれども、私どもは、それに従っても、決して何か違憲の行為をしているというふうには考えておりません。

○中村(哲)委員

 私は、まさに、内閣法制局長官が違う答弁をされていますからというのは形式的な理由にしかすぎないと言っているんですよ。私は、内閣法制局の長官が言っていることはおかしいと言っているんです。それを実質的に議論するために、今まで、憲法の本から、基本的なことを手とり足とり一から説明させていただいたんです。それに対する実質的な反論は一個もないじゃないですか。

 私は、どの点について私の申し上げていることがおかしいんですかということをお聞きしたいんですよ。それについて聞いているのに、さらに聞いてもまた形式的な理由をお答えになっただけじゃないですか。実質的な理由をお答えになりませんか。

○細田国務大臣

 そこが御不審な点があれば、実定法において有権解釈をする権能のあります内閣法制局長官に、この点の解釈をもう一度しっかりとお聞きいただきたいと思います。ここに条文がある、これはどうも、公社化に際しての考え方だと政府は称しておるけれども、そうじゃないんじゃないかということを御質問いただきたいと思います。これがまさに内閣法制局の権能でございます。

 そこで、私はちょっと今やりとりをずっとしてもあれでございますので、私どもは、先ほど理事の皆様方の、委員長のおさばきによりまして、きちっとこの整合性の問題については理事会に報告をすることをお約束しておりますので、その中でさらに詳細に述べたいと思います。

○中村(哲)委員

 実質的な議論についてはあなたはできない、だから後で理事会にまとめて答弁するということでよろしいですね。

 それでは、私は形式的なことの話をさせていただきますよ。 憲法の第一義的な解釈権はどこにあるんですか。憲法の解釈権というのは国会にあるんですよ。最高裁の判例でも、合憲性の推定という言葉がありますよね。国民から直接選挙して選ばれた国会議員というのは憲法の解釈については基本的に間違わないだろう、だから国民の代表たる国会議員によってつくられた法律というのは合憲の推定が及ぶんだというのが、最高裁がいつも憲法判断をするときの原則じゃないですか。

 だから、内閣法制局に第一義的な憲法解釈権があるんじゃないんですよ。ここで、国会で議論するというのが、国会で憲法を解釈するというのが国権の最高機関たる国会の位置づけなんです。それはもう憲法を勉強した人には当たり前のことなんですよ。そこのことについて、違うとおっしゃるんだったら答えていただいても結構ですけれども、私はちょっとその感覚は信じられませんね。

○細田国務大臣

 あれだけ内閣法制局長官を呼んで、PKO法でも、歴史をさかのぼれば、憲法の問題、幾らでも聞いておられるのは、政府の行為が憲法に合っているのかどうか、その解釈権は、政府としてやったことについて内閣法制局長官が一義的に法文を解釈するという権能がありますから、それに基づいてお答えしている。もちろん、しかしその解釈が立法者の意思と違うという場合には、憲法上のさまざまな行為を国会がおやりになる、そういうことはあるわけですよ。

 しかし、国会が何百遍も何千遍も、この政府の行為は憲法に違反していないかどうか、この今例えば法案の提出の内容は憲法に抵触しないのかどうか、極東の範囲をどう解釈しているんだ、九条の問題をどう解釈しているんだと、現にみんな国会が質問しているじゃないですか。だから、そういう意味で私は申し上げていますから、どうぞお聞きになってください。

○中村(哲)委員

 何でPKOのときに議員が、野党議員が政府に、内閣法制局長官といって聞くのかというと、それは内閣の中で憲法解釈がずれていませんかということを聞いているだけなんですよ。憲法解釈の第一義的な権能は国会にあるんです。国会で憲法解釈はこうであると言ったら、そういうふうな見解になるんですよ。だから、憲法の体系上は内閣法制局よりも衆議院や参議院の法制局の方が権能は上なんです。そのことについて理解されていないんじゃないかということを私は申し上げているんです。(発言する者あり)

 今、非常に失礼なことを国会の衆議院や参議院の法制局の方に対して評価された不規則発言もありましたけれども、私は、国会議員として我が院の法制局の能力と見識を信じております。信頼もしております。そういうところに関して、本当にそういった認識で与党はいいのかなと改めて思わせていただくところでございます。

 本当にいろいろと質問をさせていただきたいんですけれども、結局、三十三条、最初のところで政府の統一見解を出さないとできないということですよね。

 きょうの質問はもうこれで……(発言する者あり)そうですね、この質問と、あと国共済から厚生年金という方に移ってもいいんですが、国共済の方も、きょうは厚生労働大臣に出てきていただけていませんから、これを今やるような環境にもございません。この国共済、国家公務員共済から厚生年金への移管の問題についても、機会を改めて、時間は残っておりますから、この時間の範囲内で、また後日させていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。




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