質疑一覧に戻る

2004年5月17日 
第159回国会 衆議院 決算行政監視委員会第二分科会   
案件:平成十四年度一般会計歳入歳出決算、平成十四年度特別会計歳入歳出決算、平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書、平成十四年度政府関係機関決算書、平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書、平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(33分) 「郵便関係ほか(総務省保管)」   

今回は、民間開放後の信書の送達事業について質疑を行いました。

2年前に日本郵政公社法や信書便法の議論をした際、中村は信書と非信書の定義についてかなりしつこく議論を行いました。その結果、クレジットカードやダイレクトメールの送達等これまで信書とみなされていたものの多くが、非信書として明確に整理されました。

これにより、非信書の送達事業に民間企業が算入しやすくなり、サービスの多様化や経済の活性化に大きく貢献したと思います。

その反面、幾つかの問題点も発生しつつあります。
一つは、イコールフッティングの問題です。同じ非信書の送達でも、民間企業には何の制約もないのですが、公社が行う場合には、ユニバーサルサービスという制約が課されます。
例えば民間企業の場合、契約の内容により、相手ごとに料金を変えられる(相対料金)のに対し、公社の場合は、同一サービスは同一料金で全国一律提供しなければならないため、競争上不利になっています。
信書の送達にユニバーサルサービスが課されているのは、立憲主義の要請によるものです。それは中村自身、繰り返し主張しているところですが、非信書は、信書に非ずということで、ユニバーサルサービスを課す必要はないのではないでしょうか。公社を民営化するのであればなおさら、民間企業と条件を対等にする必要があります。

この点について、総務大臣及び郵政公社の理事からは、公社の第一の目的はユニバーサルサービスの維持にあり、現時点では、例え非信書といえど、公社からユニバーサルサービスの制約を解くつもりはないこと、他方、当面はサービスの多様化でニーズに対応していきたいという返答がありました。

二つ目は、非信書として送達されているものの中に、実は信書が紛れ込んでいるのではないかということです。実際、中村事務所に届けられている非信書便の中にも、信書と思われるものが多く見受けられます。これをこのまま放置しておけば、信書便事業の根幹も揺るがしかねません。この問題についてどう対応していくのか、総務大臣に確認しました。

この点について総務大臣は、非信書の中身をチェックするというのはなかなか難しいということ、現時点では事業者等に対して啓発活動を行っているが、今後の課題であることなどを答えられました。

秋から郵政公社の民営化議論が始まりますので、こうした点も引き続き議論を深めていきたいと思っています。

[2] 質疑項目

(1) 日本郵政公社の非信書分野商品の自由な展開を認める制度の必要性

(2) 非信書便による信書送達の防止策の必要性

(3) 地域協議会の構成員の資格に係る規定の解釈

[3] 会議録抜粋

○中村(哲)分科員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 まず、私は、郵便事業について伺いたいと思います。特に、信書の定義について、信書の送達について再びお尋ねいたしたいと思います。

 と申しますのは、私は、二〇〇一年、平成十三年の六月十二日、そして、郵政公社化法、信書便法の質疑の際、平成十四年、二〇〇二年の六月六日、六月二十七日、七月四日に、信書の定義、そして信書の送達について、合計四回にわたり質問をさせていただいております。

 その信書便法の質疑の際、かなり厳格に、当時の片山大臣また佐田副大臣と議論をさせていただきまして、その結果、幸いなことにと申しましていいのかどうかわかりませんが、信書の定義がかなり厳格になった。総務省のガイドラインがかなり厳しくなって、今まで、クレジットカードは信書ですよ、地域振興券は信書ですよ、ダイレクトメールも全部信書ですよとおっしゃっていたのが、全部信書ではなくなった。

 その結果、民間事業者に関しましては、信書の範囲がかなり狭くなったものですから、今までの貨物運送でほとんどいろいろなことができるようになった。これは、民間活力を引き出す上ではよかったのかもしれません。

 しかし、そのことによって負の部分も出てきたんじゃないか、そのときには想定していなかったことが出てきたんじゃないかという認識もありまして、今回の質問をさせていただこうと思った次第でございます。

 特に、私が想定していたこととは違うのが、一般信書便業にどの民間事業者も参入しなかったということでございます。これは、ある意味、今まで信書便に参入すると言っていた業者がしなかったわけですから、そこに何か問題点があるんじゃないか、そういうふうに見なければいけないんじゃないかと思っております。

 そこで、一つ、実際の現場の人の話を聞く機会がありまして、そこのことで大臣に御意見等を聞きたいというふうに思うようになったのが、今回の質問のきっかけでございます。

 と申しますのは、営業の方が、郵便、いろいろ使ってくださいよということで各店に回られるわけですね。事業者をいろいろ回られる。その中で言われることが、いや、A社さんのサービスの表はこうなっているんですよ、B社さんはこうなっているんですよと。また、店に行って、A社さんの値段表とB社さんの値段表が違う、そういうことになっている。そして、自分たちが郵政公社の職員として営業に行って競争しようと思っても、競争条件が全く違う。そして、うちは局長の判があってもし値段表をつくりかえることができたらいいのにな、そういう話を受けたわけですね。

 そこで、問題点がどこにあるのか。

 郵便事業は今、信書と非信書のサービスが一体に郵便という名前でやっているわけです。そうすると、非郵便事業に特化している貨物運送にある意味勝てるはずがない。というのは、ユニバーサルサービス義務が課せられていますし、全国あまねく公平に同一料金で基本的にやらなくちゃいけない。そうすると、局長の判断で値つけをするということは信書の世界では許されない。

 そうであるのならば、私は、郵政公社の新サービスとして、非信書に特化したサービスをつくるべきなんじゃないかと思っているわけでございます。そうすると、非信書のサービスができれば、これは局長の判断で、ある程度の枠内で価格競争することができる。

 公社が民営化されるということを前提とするのであれば、いろいろな面に関しては、民間事業者と競争条件を一緒にしなくちゃいけないと私は思うんです、基本的には。もちろん、ドミナント規制、非対称規制という考え方がありますから、公社は、また民営化された郵便会社はその重荷を背負って競争しろ、そういう思想であるのならばいいんですけれども、そうでないのであれば、基本的には民間とはイコールフッティングで競争条件を整えるべきだ。そうすると、非信書の新サービスは、論理必然的に公社のサービスとして必要になると私は考えるんですが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣

 これは、中村先生、現行の法律というのは、もう一丁目一番地のように、今言われましたように、「あまねく、公平に提供する」という、これはいわゆる第一条で定められているところでもありますので、これは、何人も郵便の利用については差別されてはいかぬということになっておるという大前提の話で、今の法律を前提にすれば、とてもじゃない話になります。

 郵政公社になったとはいえ、この法律はそのままですから、そこのところが一番問題なので、そうすると、郵政公社が仮に民営化されたといったときに、そのときにどうするかというのは、ちょっと正直、これは今この段階でどうのこうの言えた話じゃないんですが、新しく民間郵便会社になられた社長なりそこの会社の経営執行責任者が、これはやろうじゃないかということで、イコールフッティングという言葉を言われましたけれども、こっちはとにかくイコールフッティング、プラス・ユニバーサルサービスというのをしょうことになりますと、それはかなり、もうからなくてもやらないかぬという義務を負っているわけですから、そういった意味では、広く、田舎の山の中でもちゃんと金の出しおろしができるようにから、ちゃんと郵便は週に五回来るのよとか六回来るのよというのは全部決められると、ちょっと正直申し上げて、今言ったところのバランスをどうとるかというのは難しいところだとは思いますけれども、今の現状では、ちょっとなかなか難しいというところだと存じます。

○中村(哲)分科員

 私も、現行の法律内でやれと言っているわけではないんですよ。公社化しましたでしょう。私は、この民営化の議論をするときにも、公社でできる範囲に関してはもっと議論すべきじゃないかと思っているんですね。

 今回、投資信託の窓口の販売の法案を提出されようとしていたじゃないですか。まさに、現行法ではできないから法律を改正しよう、そういう発想ですよね。だから私が申し上げているわけですよ。現行法でできないから、非信書の送達ができるような新サービスを法律を改正してすべきなんじゃないか、そう申し上げているんです。これは投資信託の販売の話と同じ話です。だから、そういう必然性を感じていらっしゃいませんかと伺っているわけです。

 私自身は、今現時点で公社を民営化する必要があるのか、甚だ疑問に感じているんです。もっと議論をすべきじゃないか。公社でできる範囲、もっともっとあるんじゃないか。公社でできる範囲をどんどんどんどん広げていって、それでもやはり民営化しないといけないな、そうなったら民営化の議論に入ればいいのであって、もっともっと議論をしていくべきだと考えているから聞いているんです。

 そこで、公社の理事に伺いたいんですけれども、この非信書の新サービスは、公社としては、いや、もうこれは必要ない、民間とは、信書の送達の部分と一緒で、重荷を背負って、イコールフッティングでなくても立派にやってみますよ、そう考えていらっしゃるのか、いや、そうじゃないんですよ、やはり法律改正して、非信書のいわゆる柔軟なサービスが行えるような、そういったものも考えていったらいいんじゃないか、どちらで考えていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたします。

○岡田参考人

 お答え申し上げます。

 先生御指摘の非信書の分野についての柔軟なサービスということは、主として料金の話がございましたので、相対料金のことかと考えますけれども、非信書分野の商品につきましては、民間運送事業者におきましては、相対料金があれば競争上一般的に有利ですので、そういったことを導入しておりますけれども、ただいま総務大臣が御答弁をされましたように、現在は、総務大臣御答弁の趣旨から、郵便事業におきましては相対料金は設定しておりません。

 今、非信書分野で競争が激化しておりますけれども、郵政公社といたしましては、昨年四月の発足以降、各種サービスの改善を実施してきておりまして、例えば、冊子小包の分野でございますけれども、年間契約による低廉な特別料金の新設ですとか、配達記録扱いを追加するなどのサービス改善を行いまして、その中身は、実質は料金の選択肢を多様化するということでございますけれども、そういうことをやりました結果、平成十五年度の物数は、対前年度比で八〇%を超える増加となる見通しでございます。

 もう一つ、一般小包郵便物の分野でございますけれども、こちらも、小型物品市場におけるシェア一〇%を確保しようということで、送達速度の向上ですとか、大きさあるいは重量の制限をできるだけ緩やかにしまして、そういったサービス改善を実施した結果、平成十五年度の物数は、対前年度比一〇%弱の増加となる見通しとなっております。

 郵政公社といたしましては、今後とも、お客様のニーズにこたえるサービス改善に努めまして、利用者の方々の拡大を図っていきたい、このように考えております。

○中村(哲)分科員

 岡田理事、御答弁いただいたんですけれども、私の問いには直接答えられていないんですね。非信書サービスが必要だと考えているか、必要と考えていないのか、検討中だから答えられないのか、三つの選択肢があるわけです、答弁としては。そのいずれにも答えられていない。

 今の御答弁を素直に聞くのであれば、いや、今あるサービスでも十分やっていますよ、売り上げもふえていますよ、非対称規制で十分やっていける、公社はもう競争条件のイコールフッティングは必要ないんだ、そういうふうに聞こえるんですが、いかがですか。

○岡田参考人

 公社が発足いたしまして、非信書の分野につきましては料金規制がかなり柔軟になってきておりますので、現在、郵政公社といたしましては、その柔軟な料金規制のもとで、料金、サービスの多様化を図っておりまして、ただ、個別の事業者ごとに相対で料金を決めるということにつきましては、そういうことを行っている民間運送事業者もおりますけれども、公社としては、現時点ではまだそこまでは考えておりません。料金、サービスの多様化を推進しているというのが現在の状況でございます。

○中村(哲)分科員

 つまり、立法事実として、料金の多様化であればもう十分だ、相対料金の制度は必要ない、現時点ではそう考えているということでよろしいですね。

○岡田参考人

 冒頭、総務大臣から御答弁がございましたように、信書も非信書も含めまして、郵便全体としてユニバーサルサービスを提供しておりまして、そのユニバーサルサービスの大きな中身の一つが、やはり均一料金ということがその大きな中身だ、こう理解しておりますので、この問題については、やはりユニバーサルサービスがどうあるべきかとか、均一サービスの問題等、十分検討しなければ、公社としても現時点では結論の出せる問題ではない、そのように考えておるわけであります。

○中村(哲)分科員

 大臣、今、岡田理事がおっしゃったように、ユニバーサルサービスと関係しているとおっしゃっているんですよ。

 なぜそもそも信書の送達がユニバーサルサービスでないといけないのかということに関して、私、先ほど申し上げましたように、四回質問しているんですよ。それも、三十分、四十五分、六十分、六十分というすごい長い質問時間を使ってやっているんですけれども、それは何なのか。それは立憲主義の要請だということを主張させていただいて、大臣もそうだとおっしゃったわけですね。ということは、この国は民主主義であるがゆえに、国民の最低限というか、最小限と言ってもいいですね、その通信の手段として信書の送達というものがある、だから、それに関してはユニバーサルサービスが必要なんだということだと思うんです。

 そういうふうに考えると、非信書はなぜゆえに非信書なのか、ユニバーサルサービスをかけなくていいのかといったら、ここは必ずしも立憲主義の要請があるわけではないからなんです。

 ということになると、岡田理事がおっしゃっていたユニバーサルサービスの意味ですよね。非信書のある意味ユニバーサルサービスと言われるものと信書のユニバーサルサービスというものは、おのずから意味が違ってくると思うんですね、必要とされる程度も。非信書の場合はポストがあれだけ必要なわけでもないでしょう。いろいろな貨物運送としてのサービスのあり方があるんだと思うんです。

 そう考えると、今、郵便事業でユニバーサルサービスということで、信書も非信書も一緒くたにして義務を課せられている、だからできない、それが岡田理事の御答弁だったというふうに私は理解します。やはりそこは柔軟に制度を変えていく必要があるんだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣

 これはかかって、今も御理解をされておるとおりに現状ではできないんですが、これが仮に郵政公社が郵政会社になったときにどういったことになるかという点は、これはそのときの経営者の方々のお考えになるところなんですが、ただ、これは民間の民業圧迫であるという意見は出るでしょうな。多分、私が向こう側の立場だったら、何言っているんだと言うだろうなという感じはするんです。

 これによって利益を確保できる確率は高くなるという点は、ちょっとこの業界にそんなに、商売いろいろやりましたが、この郵便という仕事はやったことがないので、もうちょっとこれを、どれくらいもうかるかという話を計算してみないとわからぬところだとは思いますけれども、民間がこれだけやっているということは、かなり利益が出るからやるのであって、利益が出ぬ仕事はしませんから。

 そういった意味ではやることになるんでしょうが、そのとき、民間会社になったんだからこれやらせてくれということを言ったときは、それはイコールフッティングなんだからいいじゃないかというのは、理屈としては成り立つだろうと思いますが、ただ、それはかなりな反発が出てくるであろうということだけは予想できますので、やるともやれぬとも、ちょっと今の段階では言えません。

○中村(哲)分科員

 私もそれを考えているんですよ。つまり、先ほど申しましたように、非常に巨大な国営企業が民営化するときには、必ず非対称規制、ドミナント規制という話が出てきます。だから、そういうふうに整理されるのであればいいと思うんですよね。郵政公社が郵政会社になるから、これはもうドミナント規制をしないといけない、そういう議論になれば、いや信書と非信書は同じサービスで、郵便でこれからもやってくださいということになるでしょうし、いやそうじゃないんだ、イコールフッティングだから同じ条件にしないといけないんだ、二つの考え方になると思います。

 それはどちらを選ぶか、それを少なくとも検討しないといけないということだと思います。その点はいかがですか。

○麻生国務大臣

 それは実に、イコールフッティングの前にユニバーサルサービスという、もうからないところもやらねばならぬという負荷がかかっていますので、イコールフッティングにはプラスアルファつけてちょうだいねとか、これはいろいろ、交渉の仕方としてはあるとは思いますけれども、今言われたところを含めて、これは、そもそもユニバーサルサービスの定義とはとかいうところからきっちり論議をしないと事は進まぬと思います。

○中村(哲)分科員

 なぜ私がるるこのようなことを申し上げるかというと、信書の送達、郵便業務というのは、独立採算でやられているわけですよね。ここに税金を投入するというのは、今までの明治以来の歴史を転換するということですから、なかなか大変だと思うんです。だから、私は、非信書の部分の上がりで信書の部分の損を埋めるというか、そういうことは必ず郵便会社になっても必要だと思うんですよね。

 今からインターネットがどんどんどんどん進んでいくでしょう。公社化法の質疑をした二年前よりも、ブロードバンドはずっと進みました。その結果どんなことが起こっているか。どんどん文書が電子化されて、PDF化されて、もうメールで送られる。暗号をかけているから、通信の信頼性、秘匿性も十分成り立っている。そうなってきたら、郵便でどれだけのものが送られるのか。

 しかし、それでも、そんな時代でも郵便は必要だな、そのことは議論の過程でずっと明らかになっているわけです。紙に書いたもので人に、相手に伝えること、この紙というものの文化性もある。そういったことも含めると、国民の最低限のサービスとして、信書の送達は国が保障しないといけないということになっているわけですから、これは国が守っていかないといけない。

 しかし、独立採算で損が出たら今度は税金で埋めるのか、いやそこまでいかぬでしょうね、そのことも考えて、郵便事業の収支に関しては考えていかなくちゃいけないんです。そういった意味で私は聞いているわけでございます。

 だから、ここは、この秋から、最終答申が出て、民営化の法案の検討に入って、来年、民営化の法案が出てくるということになると思いますけれども、そのときにはきちんとそこを整理していただいて、しっかり議論をしていただきたいと思います。

 そこで、次の質問に入るんですが、現状、今、そういった非信書の部分で競争は激化しています。それと同時に、非信書のサービスで信書を送られる利用者の人が増大していると私は思うんですね。どこの自治体かは申し上げませんけれども、自治体が私たちに意見書を送ってきます。意見書ですね。地方議会が議決した意見書を国会議員に送ってこられます。国会に送ってくるときに一緒に国会議員にも送ってくるということなんでしょうけれども、そのときに、どこの会社とは申しませんけれども、いわゆるメール便で送ってこられるわけですよ。これは信書じゃないんですか、まず確認します。

○麻生国務大臣

 これは信書に当たると思いますけれどもね。ちょっとどこの会社まで言えぬと、なかなかそれはそうだと思いますけれども、それはちょっと、今の話は信書に当たるなと、聞いていてそう思いました。

○中村(哲)分科員

 信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」ということですから、私も、これはもう完全に信書に当たると思うんですね。

 こういった形で、信書がいわゆる非信書サービスで送達されている例がたくさんある。特に、信書の定義が厳格になって非信書でほとんど何でも送られるようになったから、もう一緒に送っちゃえということで信書の領域がどんどんどんどん、侵されていると言ったらいいのかわかりませんけれども、そういうことになっている。その結果、民間事業者は、一般信書便事業に参入するインセンティブがなくなってきたわけですよね。

 いやA社さん、これはまずいんじゃないですかと例えば総務省が言ったり、私たちが言ったりしても、いや、利用者の方が封しておられるものですから、私たちは、通信の秘密とは別次元で、プライバシーの保護という意味で、お客様のサービスを考えたら、お客さんのプライバシーを侵すことはできません、だから開封して見ることなんて、見て信書かどうかなんか判断することはできませんよねと言われたら、ああそうですよねと。

 そうすると、非信書のサービスで信書を送らせないようにするためには、利用者に対して、これは非信書サービスだから信書は送っちゃいけないんですよと、そういうことを規制するか周知徹底するか、何らかの方法をとるしかないんですよ。

 お伺いしますけれども、このある意味違法行為ですよね、それを放置するのかどうするのか、対応策としてどのようなことを考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

○麻生国務大臣

 今の点はまことに、現実としてどれくらいのことになっているかという調査までしたわけではないんですが、確かに今、向こう、向こうというのはその法を犯している人の言い分も、多分そういうことを言うだろうと私も想像にはかたくないんですね。だって、あけたらそれこそ問題ですから。だから、そういったことになるとは思いますので、密封されているわけだからあけようがないということになるんだと思います。

 やはり基本的には、今、お手元にあるのと同じかと思いますけれども、こういったものを配ってぜひということで、信書は取り扱えないんですよというような話を徹底させたり、ホームページに載せたり、いろいろなことはしていますよ。確かにしていますけれども、現状としては、これがゆゆしき一大事にまで至るかどうかは難しいところですけれども、言った事態にまでは至っておらぬような感じはしているんですけれども、やはり郵便局が配達してくるものの方が何となく信頼があると、一応、今のところはなっていますから。

 ただ、これが民間会社だったらどうするかというのは全然別問題になる時点が起きてくると思いますので、その点も周知が基本だとは思いますけれども、これは、今後の問題としては検討しなきゃいかぬ大事な問題だと私もそう思います。

○中村(哲)分科員

 大臣、郵便局の方が信頼性が高いとおっしゃいますけれども、民間では必ずしもそうはなっていないと思うんですよ。機密性の高い文書である、あしたまでに届けないといけない、そうなったときに、民間事業者のメール便を使われる方はたくさんいらっしゃると思いますよ。しかし、そこが実は、特定人に対する意思の通知または事実の伝達ということであれば、これは信書の送達なんですよね。だけれども、利用者の側が、いや、それは民間企業を使うんだ、メール便を使うんだということでやっているわけですよ。そこに対して、今のような御答弁だと全然抑止力がないと思いますよ。

 先ほど大臣の示されたパンフレット、これは何万部刷られていますか。多分今すぐ御答弁いただけないと思いますけれども、各家庭に配っているわけでもないでしょうし、非信書サービスをやっているときに、はい、こういうのがあります、これは信書は入っていませんよね、このサービスでは手紙とかそういうものを送れないんですよ、そういう話になっているのかどうか。

 なかなか難しい論点としてあるのは、添え状、送り状のたぐいが、これは信書であっても貨物運送で一緒に送っていいわけですよね。そういった例外規定もある。そうなったときに、なかなか規制としても難しいかもしれません。

 しかし、やはり国交省と相談して、メール便のサービスについては、手紙は入っていませんよねと事業者に周知徹底させる。そういった周知徹底義務、そういうものを課すような検討というのはすべきじゃないんでしょうか。いかがお考えでしょうか。

○麻生国務大臣

 これは検討の必要はあろうと思いますし、特に民間会社に仮になったとした場合には、今の中村先生のは考えにゃいかぬところだというのはいたします。

 ちなみに、パンフレット、事業所用、一般用で各十万部ですから、合計二十万部ということになろうかと思います。その程度のものです。

○中村(哲)分科員

 まあ、十万部ずつで合計二十万部といったら、国民はほとんど知っていないということですよね。だって、読まない人がいるわけでしょう。何万人の人が読んだのかといったら、十万人も読んでいないんじゃないかなと思うんです。だから、そういうことに関してはもう少し今後検討していただきたいと思います。

 残り時間がもうわずかになってしまったんですけれども、周知徹底と関係して、先般の総務委員会での質疑、四月二十七日の質疑での地域自治区についての御答弁があったことの確認をさせていただきたいと思います。

 地域自治区の地域協議会のメンバー、構成員に個人商店主が含まれるのかという質問を私がさせていただきました。そのとき、山口副大臣は、権利能力なき社団に含まれますので、それは構いません、なれます、そういう御答弁をいただいたんですけれども、果たして本当にそうなのかなともう一回帰って考えてみまして、また与党の議員からも、あれは政府の答弁間違っているでという話を伺いまして、これはもう一回聞いておかないといけない。

 というのは、個人事業主というのは、やはり自分の個人の名前で白色申告とか青色申告とかしているわけですから、幾ら従業員を使っていても、結局、その契約の内容とかお客さんとの関係というのは最終的には商店主個人に帰属するんですよね。ということは、その集団というのは権利能力なき社団には絶対当たらないんですよね。

 そうすると、どういう解釈をすればおっしゃった御答弁が適法に理解できるのかというのが理解できなかったものですから、私は、その後、事務方と話をして、私なりに、あなたたちの御答弁はこう考えたら理解できますよねというような話をさせていただいたんですけれども、そこについて改めて、総務省としてはどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。

○山口副大臣

 先般、総務委員会で中村先生の方から種々御質疑があったわけでありますが、基本的に、前の委員会で申し上げましたように、住民というふうなことで、いわゆる住所というふうなことで御答弁申し上げた中に権利能力なき社団というふうなことがあるということでございまして、ですから、法人格は有しないが権利能力なき社団に該当する商店もあるというふうなことでございます。

 ですから、さらに申し上げますと、では、個人商店が権利能力なき社団に当たるのは具体的にどんなのがあるかというふうなことなんだろうと思いますので、申し上げますが、これはいろいろ判例もあるんですけれども、ともかく具体的な、複数人が出資をして店舗を共同で構えておる商店だとか、あるいは税法の規定によって法人とみなして課税されている実態があるのも実はあるわけでありまして、そういったものに対して権利能力なき社団と考えても差し支えないんじゃないか。

 さらに、これは先般の委員会の続きみたいなお話になるんですが、若干つけ加えさせていただきますと、権利なき社団に入らなくても、例えば、その地域の商工会に所属をしておる、あるいは商工会議所だ、何とか協議会なりに所属をしておるといった場合には、その団体、その法人は認められるわけですから、その一員として協議会に出ておいでるということは大いにあり得るというふうなことでございます。

○中村(哲)分科員

 時間が参りましたからこれぐらいにさせていただきますけれども、今、山口副大臣がおっしゃったことは、私が事務方に申し上げたことなんですね。つまり、個人であっても法人であっても、営業している商店がある、そこが協議会のメンバーになるということは、大体は商店街とか商工会とかの代表として出る、そこから選ばれて出るのが普通であろう。そうじゃないと協議会のメンバーになり得ないだろう。商店街の有志の集まりだったら権利能力なき社団だし、商工会のメンバーとしてだったらこれは法人格ある団体の代表者、その構成員として出ていくということですから当てはまるだろう。そういう整理でいいんじゃないかと思っております。

 時間が参りましたからもうこれ以上答弁を求めませんが、一言何かありましたら答えていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○山口副大臣

 今、実に先生の方でちゃんと整理をしていただきまして、そのとおりだろうと思っております。

○中村(哲)分科員

 ありがとうございました。



▲up

質疑一覧に戻る