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2004年3月23日 
第159回国会 衆議院 総務委員会   
案件:放送法第37条第2項の規定に基づき、承認を求めるの件

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(15分) 「NHK予算案審議」   

総務委員会ではNHKの受信料に関する質問を行いました。

国民年金のCMに出演されていた江角マキコさんが、実は国民年金の支払いを延滞していたという問題が最近話題になっています。実は、このNHKの受信料も年金保険料と同じような問題を抱えています。つまりNHKの受信料も国民全員に支払いの義務があるのですが、世帯全体では82%、単身世帯となると62%しか受信契約をしていないという実態があるのです。

受信料負担を国民の義務とすべきかどうかという点については様々な議論があると思いますが、少なくとも現時点では、国民にも支払う必要がある一方、NHK自身も受信料徴収の努力をすべきだと思います。しかし中村自身の経験では、引越しをして以来誰も徴収に来ないし、TVの取り付け等の際にもそういった勧誘はなかったので、NHKはもう少し努力をすべきだと主張しました。

例えばNHKの番組出演者が受信料を払っているかどうかということについても、NHKは確認していませんでした。固いことを言うなという方も居るかもしれませんが、(受信料を支払っている)正直者が損をするのを許してしまっては、公平も公正もあったものではない、ルールを守ることが馬鹿らしい社会になってしまいます。

中村からは、特に若者の受信契約を伸ばす観点から、受信契約者にインターネットのIDを発行し、インターネット上で昔の番組を見れるようにする等の特典を与えてはどうかという提案をしました。
 NHKからは、情報の保護や肖像権等の問題があるので直ぐに対応するというのは難しいが、アイデアの一つだと思うという回答がありました。

[2] 質疑項目

(1)受信料の公平負担の方策等について

  ア 受信契約事務の電気店等への委託の有無
  イ テレビ等の梱包に受信契約申込書を同封する必要
  ウ クレジットカードによる受信料の決済の実現の見込み
  エ 「紅白歌合戦」等の出演者に対する受信料支払いの有無の確認の必要

(2)NHKのインターネットによるサービスが受信料で賄われる根拠

(3)受信料納付者に特典を与える等契約率を高める方策の検討の有無

(4)子会社等の余剰金を配当として受けてNHK本体の経営改善につなげる必要

[3] 会議録抜粋

○中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 毎回言うのは私嫌なんですけれども、きょうも自民党の出席者の数が少ない、そして、やっとのことで、公明党の皆さんと私たち野党の出席で定足数が足りているという状況でありますから、また委員長、御指導をよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、NHKの受信料の問題であります。受信料の公平負担についてお尋ねをいたします。

 単身世帯の未加入率が非常に高いというか、加入率が低いということですね。単身世帯では六一・四%、二人世帯以上の世帯では八八・六%加入しているのですから、世帯の全体の契約率を押し下げているという状態であります。恐らく、単身世帯には大学生というような人たちが多い。

 また、私ごとですけれども、私は昨年結婚いたしまして、実家の方から新しく新居に移ってまいりました。こういった世代に対する働きかけが本当に少ないんじゃないか、そういうことが実感としてあります。

 と申しますのは、新居に移ってからこの春まで、具体的に訪問されたという記憶はありません。また、選挙が終わって、十六年ぶりにテレビを買いかえようということで、デジタルテレビが今売られていますから、普通のテレビが安くなっておりますので、普通のテレビと、あと、話題のDVD、ハードディスクレコーダーを購入しました。しかし、そのときにも、店員の方、取りつけに来られた方、そういった方に、NHKの受信料はどうなっていますか、契約書はここにありますよというようなことは言われたことはありませんし、箱の中にも入っていない。

 こういったことでは、いわゆる単身者や新婚などの若い世帯、そういった人たちと受信契約をする、そういったことにつながっていないんじゃないか、その対策がとれていないんじゃないか、本当にそう思ったわけでございます。

 そこで、いわゆる若者世帯についての取り組みを伺います。

 賃貸の仲介業者や電器店に受信契約の代理店をしてもらう、そういった取り組みをするべきなんじゃないかと思います。海老沢会長、いらっしゃいますか。

○中山参考人

 お答えいたします。

 電器店とか、それからいわゆる量販店、ここの方々に業務委託をしまして、そして受信契約をお願いするということ、これは受信契約を向上させるという点で、御指摘のように大変重要な点だというふうに思っております。

 それで、十四年度においては、約一万三千店の全国の電器店の方々に御協力をいただきまして、受信契約は五万三千件を取り次ぎしていただいて、これからさらにふやしていきたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 それでは、ハードのテレビやDVDレコーダー、そういったものに受信契約書を入れるなどの取り組みはしているんでしょうか。

○中山参考人

 受信機に受信契約の申込書を入れるということは、BSの受信機について現在行っております。これは平成四年から、BSのアンテナそれからチューナーも対象にして実施をしております。現在は、国内すべての電機メーカーの受信機に契約書の同こんを実施させていただいております。十四年度の契約取次実績は六万六千件という数字になっております。

○中村(哲)委員

 つまり、取り組みをしているけれども、漏れる人が多いということなんですよね。

 ことしの契約収納関係経費総額は八百十八億円、受信料収入が六千五百五十億円、営業経費率は一二・五%、去年から〇・一%また下がっているんですけれども、確かに、営業経費率を落としていくことは重要だと思います。しかし、毎年毎年、経費を削減していく、その中で、果たして本当にあるべき契約、とれるべき契約が本当にとれているのかどうか、そこに対する検証も必要だと思うんですね。もっといろいろな形で受信契約をふやす取り組みをしていかないといけないと思います。

 関連なんですけれども、若者世帯、インターネットを利用している人もたくさんいらっしゃいます。そういったときに、決済手段としてよくとられているのはクレジットカードです。クレジットカードについては御回答もいただいているんですけれども、十七年度から十八年度中に取り組みをするということも回答いただいているんですけれども、改めて御回答をお願いいたします。

○中山参考人

 クレジットカードの決済ですけれども、時代の変化に伴って、大変有効な決済手段になるということは御指摘のとおりで、一部やはりセキュリティーの配慮とか、それからシステムの改善等々もありまして、十七年度から十八年度中を目指して導入をさせていただきたい、また、十六年度中に一部ですけれども試行も実施してみたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 そういった若者対策に取り組んでいかれるということで、それはお願いいたします。

 関連してなんですけれども、今、国民年金保険料のCMに出演していたタレントが国民年金保険料を払っていなかったという問題がクローズアップされています。同じようなことがNHKの受信料でもないのかな、そういうことを思いましたので、少しお聞きしたいと思います。

 つまり、若者世代向けの番組として、紅白歌合戦などでも若い世代の出演者がたくさん出演するようになってきました。そういった方たちに対して、受信料をきちんと払っているかどうか、その確認は、NHK、されているでしょうか。

○中山参考人

 お答えいたします。

 現在は確認をしておりません。

 あくまで、受信契約収納ということは、営業活動を通じてきちっと成績を残していく、それから、放送は、公平公正、NHKらしい番組をきちっとつくっていくということが基本になるわけですけれども、また、個人情報の観点からも、営業と放送の情報を相互に活用し合うということは若干の課題は残っているというふうに認識をしております。

 御指摘の点は慎重に検討する課題だというふうに思っておりますけれども、現在のところはまだ確認をしていないというのが実態でございます。

○中村(哲)委員

 そんな認識だからだめなんですよ。何も個人情報を利用して指摘しろと言っているわけじゃないじゃないですか。出演者に対して、あなたはきちんと受信料を払っていますかと確認するというのは、個人情報と関係ないじゃないですか。営業情報を放送に利用する、そうすべきだと言っているわけじゃないでしょう。そういったことで自分の仕事をしていない理由をつけないでくださいよ。単身世帯、新婚世帯、そういった若者世代をきちんと契約に取り込まないといけないんでしょう。だったら、そういう世代のリーダーになるような、またアピール力の強いような人たちにきちんと促して入ってもらう、その取り組みをすることは非常に重要じゃないですか。そんなことでどうするんですか。会長、いかがお考えでしょうか。

○海老沢参考人

 私ども、受信料の公平負担ということで、いろいろな働きかけをしておりますが、個人個人に対しての、きめ細かいといいますか、そういう対応が不十分だということ、これは今後大いに反省をしながらやっていかなければならぬと思います。

 そういう面で、「のど自慢」なりいろいろな催し物をNHKやっておりますが、その際に、担当のディレクターの方から、この番組は受信料で制作されております、ぜひ受信料をお払いくださいという呼びかけは毎回しております。出演者の方もそれは十分認識していると思いますが、まだ確認はきちっとはしていない、その点、これからいろいろ検討していきたいと思っています。

○中村(哲)委員

 確認をしていただける、検討をされるということですので、よろしくお願いいたします。

 関連質問として、インターネットと放送の融合についてお尋ねをさせていただきます。

 若者世代の契約に取り組んでいるということを考えると、若者世代はよくインターネットを使っている、そのことについても、配慮をする、考えていかないといけないと思います。

 今、受信料の使い方について、インターネットの費用はテレビの受信料で賄っているというふうになっていると思いますけれども、その根拠は何でしょうか。

○野島参考人

 先生のお尋ねは、NHKが今インターネットを利用して、番組の二次利用ですとか、番組関連情報の提供をしている、それに関連してのことかと思うんですが、これらは、視聴者の方が見逃した番組を後で見ていただく、あるいは番組をよく理解していただくための情報を提供するということでございますので、放送のいわば補完ということでございます。

 放送法に規定されております附帯業務というものに当たるものと理解しておりまして、総務省のNHKのインターネット利用についてのガイドラインでも、そのような位置づけで、範囲ですとか、規模だとか、態様について規定されているところでございます。

 したがいまして、これについては受信料でやっているということでございまして、平成十六年度は、それについての費用を七億五千万計上しております。

○中村(哲)委員

 つまり、インターネットを利用している人は、テレビの受像機を持っているだろう、だから、受信料でインターネットも提供しよう、そういう趣旨だと思います。

 私は、そうすれば、もう少し進めて、受信料を払っている人にはID番号を発行して、例えばインターネットの、総務省の言っているガイドラインで定められております一週間に限っては再放送をインターネットで通信で見ることができる、そういった仕組みも考えたらいいんではないか。そうすれば、受信料も払おうかな、払ったらID番号を発行してもらって見逃した番組も見られるんじゃないかな、そう思う人もふえると思うんですけれども、そのことについてはいかがでしょうか。

○中山参考人

 若者の契約率を上げる、それから収納率を上げる、これはもう御指摘のように、私どもの大変な課題の一つであります。

 インターネットを活用して、今御質問にありました、ある種インセンティブを設けて若者の方たちの受信契約の率を高めたらどうかという御指摘ですが、先ほどから、新しい技術、デジタル技術の活用のところで御説明も申し上げておりますけれども、受信契約者を特定する認証技術の確立、それからコンテンツの保護、そのほかまだ課題が残っております。将来の課題としては、そういう点も取り上げていくという課題の一つだというふうに思っておりますけれども、現時点ではまだ若干の課題が残っているというふうに思っております。

 それから、営業活動でインターネットを活用しているのは、平成十二年七月からインターネット営業センターというものをNHKのホームページに設けておりまして、そこから、受信契約とか住所変更とか、それから衛星契約変更とか、いろいろなことをやっておりまして、こういう点はこれからも進めていきたいというふうに思っております。

○中村(哲)委員

 時間がないんですから、端的に答えてください。もう時間がなくなりました。

 最後に、関連会社についての質問をさせていただきます。関連会社については、二年前に我が党の永田委員も質問をさせていただきましたけれども、天下りがあるんじゃないかという問題が聞かれております。しかし、私は、より進んで、余剰金の問題についてお聞きをさせていただきたいんですね。

 例えば、NHKエンタープライズの余剰金は今七十四億円ほどある。余剰金がこれだけあるけれども、配当をしていないらしいんですよ、関連会社が。今、地上波デジタルで、投資的経費が非常に必要な時代ですから、こういったところから配当をもらって、経営状態を改善するということの取り組みをすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○佐田委員長

 持ち時間が過ぎておりますから、簡略にお願いします。

○安岡参考人

 今、エンプラの状況でございますけれども、先生言われたように、七十四億の剰余がございます。エンプラの今の売り上げは三百五十七億ということでございまして、売り上げの剰余金が二〇%出るということで、事業の健全性から見ればおおむね妥当なことじゃないかなというふうに思っています。

 なお、配当につきましては、今後いろいろ研究をしてまいりたいというふうに思っています。

○中村(哲)委員

 もっと端的に答えてくれますようお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。




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