2003年2月12日
第156回国会 衆議院 予算委員会

案件:平成十五年度一般会計予算・特別会計補正予算・政府関係機関予算

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(60分) 「公務員制度改革・シベリア抑留者問題について」   

この日の予算委員会では、公務員制度の改革に関する問題(特に退職公務員の再就職問題)及びシベリア抑留者に関する問題を取り上げました。

現在、退職公務員の再就職に関しては、再就職先が営利企業であれば所管大臣が承認したうえで人事院のチェックが入ります。しかし特殊法人や認可法人、独立行政法人等に再就職する場合(再就職者の数はこちらが圧倒的に多いです)、人事院のチェックは入りません。つまり多くの場合、所属する各府省の斡旋(大臣の承認)でのみ再就職が決まっているのが実情です。

これに対し、政府の公務員制度改革では(内閣で統一的なルールを作るという前提はありますが)、人事院のチェックを廃止し、全ての再就職を大臣の承認(いわゆる大臣承認制です)で済ませようとしています。この制度を認めてしまうと再就職の歯止めがますます利かなくなるばかりか、各府省の縦割り行政(セクショナリズム)を助長する恐れさえあります。

大臣承認制は公務員の再就職問題に対し、何ら解決策になり得ません。例え内閣でルールを作ったとしてもダブルチェック機能として人事院の関与を残すことは、より厳格な管理につながるはずです。にも関わらず大臣承認制に変更する理由は何なのか。政府は、国民が納得する体制を作りますがその体制は現在検討中ですということを繰り返すばかりで実質的な回答はありませんでした。

本件の担当は石原大臣なのですが、大臣の回答はどうも要領を得ません。議論に混同があったり、前後の発言のつじつまが合わなかったりということで論理的な議論ができないのです。公務員制度の改革は大変重要な問題です。この問題は公務員に限らず、広く国民生活に影響を与えると思います。なし崩しに法案を検討されることがないよう引き続き論理的に詰めていく作業が必要だと思います。

シベリア抑留者に関する問題は今回初めて取り上げる問題ですが、賃金の未払いに関する問題を取り上げました。

強制労働に服した捕虜は、終戦後、使役した側の国(アメリカやイギリス)から代価が支払われています。ところがロシアに使役されたシベリア抑留者に対してはそれが支払われていないのです。この問題は解決が非常に難しいため、関係する役所(外務省、総務省、厚生労働省)は全て自分は担当ではないと逃げ回っていたのですが、今回の質疑でようやく担当府省を確定することができました(総務省のようです)。担当府省さえ決まっていなかったというのは情けない話ですが、これを機に引き続き追求していきます。

[2] 質疑項目

1.退職公務員の再就職

  1)特殊法人等への再就職について中島人事院総裁の見解

  2)「全て天下りについては内閣で直接一括承認すべきである」とする人事院の見解

  3)特殊法人改革に関する特別委員会(以下、「特殊法人等特別委員会」という。)における石原行政改革担当相の「特殊法人の天下りについては、人事院はこれまでアンタッチャブルであった。そういう話でございます」発言(平成14年11月13日)についての中島人事院総裁の見解 

  4)同発言を撤回する意思

  5)総合調整機能を有する大臣承認制とすることについて石原行政改革担当相の所見

  6)人事院の承認をはずすことについて石原行政改革担当相及び中島人事院総裁の所見

  7)特殊法人等特別委員会における石原行政改革担当相の「70人が10人になるならば信用いたします」発言(平成14年11月13日)の真意及び同発言について中島人事院総裁の見解

  8)再就職について内閣と人事院における見解と相違の理由

  9)再就職についての承認基準の作成時期

2.シベリア抑留者及び抑留者の未払賃金

  1)同問題の所管省庁及び外務省の見解

  2)未払賃金の請求を行えるよう法制定の必要性

[3] 会議録抜粋

中村(哲)委員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 私、本日、まず初めにシベリア抑留者について質問させていただこうと考えておったんですが、官房長官が十時十五分以降にならないと記者会見からお帰りになれないということですので、順番を変えまして、まず、公務員制度改革について質問をさせていただきます。

 本日、お手元の要旨にありますように、1、2がいわゆる公務員の天下り問題、退職公務員の再就職についての質問であります。

 この問題に対しましては、昨年、平成十四年十一月十一日と十一月十三日に、我が衆議院の特殊法人等改革に関する特別委員会におきまして、山井議員が質問されているところでございます。そこで、どうも石原大臣と人事院の言っていることが食い違っている。

 これは、食い違っているのは構わないみたいなんですけれども、その議論が、特殊法人等、独立行政法人と営利法人の議論を混同した議論がされていたように思いまして、このお配りさせていただいている資料におきましては、その発言を、特殊法人等と営利法人で分けて記載させていただいております。そういう趣旨で、1、2と分けて質問を、議論をさせていただきたいと考えております。

 まず第一、退職公務員の特殊法人、認可法人、独立行政法人等への再就職について質問をいたします。

 まず、中島人事院総裁にお伺いいたします。この特殊法人等に対する再就職について、人事院はどのようにお考えでしょうか。

○中島政府特別補佐人

 現在、民間企業に対する天下りの承認権は人事院にございます。そのねらいは、行政の中立公正性というものを確保しようということでそういうふうになっておりますが、私たちは、それを内閣に移すべきだ、若干デメリットがございますけれども、内閣に移すべきだ、そして、特殊法人、認可法人等に対する再就職も内閣が一括管理すべきであると。

 なぜそういうふうに私たちが申し上げているかといいますと、そのことによりましてセクショナリズム是正のための大きな一歩を踏み出すことができるだろうというふうに我々はねらったわけでございます。そのメリットというのは、先ほど申し上げましたデメリットを補ってなお余りあるというふうに私たちは考えております。

 したがいまして、この再就職の問題について議論するときには、セクショナリズムの是正というものもねらってひとつ議論をしていただきたいというふうに考えております。

○中村(哲)委員

 もう少し詳しくお聞きしたいんですが、内閣に一括管理するようにすべきだというふうなお話をされていましたけれども、その具体的内容というのは、十一月十一日の質問、十一月十三日の質問によってもそれ以上のことは述べられていなかったんです。

 だから、改めて人事院として、内閣で一括管理すべきというのは、具体的内容としてはどういうことをお考えになられているのか、お聞かせください。

○中島政府特別補佐人

 内閣が一括管理するというときに、内閣官房にするのか、内閣府にするのかというふうな議論もございますし、また、内閣がどこまで承認権を行使するのかということの議論もございます。そういう議論は、大方針、結局、すべての再就職を内閣が一括管理するということが決まった後に詰めればいい議論だというふうに私は考えております。

○中村(哲)委員

 もう少し具体的なお話をお聞きしたいなとは思っているんですが、それでは、具体的に話をさせていただきたいのは、昨年十一月十三日の石原大臣の発言についての人事院のお考えをお聞きしたいと思います。

 特殊法人に対する天下りに対しては人事院がチェックをすればいいのではないかというのが、そのときの山井委員の主張でした。それに対して、中島人事院総裁は、内閣でやっていただいた方がいいとお答えになりました。その後、石原大臣はこのようにおっしゃっているんですね。「官僚の方が特殊法人並びに今度の独立行政法人に移るということでございまして、この件につきましては、人事院はアンタッチャブルでありますし、これからも関与したくないと総裁が申しておりました。その理由は簡単でございまして、人事院も天下っているんですね。」というふうにおっしゃっているんです。

 人事院が特殊法人等に天下っているから、人事院一括管理、人事院では管理はできない、そういう趣旨で総裁はおっしゃったんでしょうか。

○中島政府特別補佐人

 全くそういうことは関係ございません。

○中村(哲)委員

 ということは、石原大臣がこのようにおっしゃったことに関しては、人事院としてはどのようにお感じになっておられますか。

○中島政府特別補佐人

 私は、石原大臣がどういうお考えでそういうふうにおっしゃったかということはよくわかりませんけれども、私たちの職員も公益法人等に再就職はいたしております。それは現在の制度のもとで許されるぎりぎりの再就職だというふうに考えておりますが、そのことが特殊法人とか公益法人等の改革に仮に妨げになるということでございましたら、そのお決めになった方針に従いまして、私たちは御遠慮申し上げたいというふうに思います。

○中村(哲)委員

 その大方針として、仮にですよ、政治の現場で、人事院でこれをしてもらいたいということになれば、人事院はやれる覚悟はありますか。

○中島政府特別補佐人

 先ほど申し上げましたように、内閣の一括管理が一番いいと思いますけれども、政治の場で、人事院が中立機関として担当すべきであるということになりましたら、当然私たちは全力を挙げて取り組むことにいたしたいというふうに思います。

○中村(哲)委員

 人事院は全力で取り組む、政治の現場でそうなれば人事院は取り組むとおっしゃっています。それではこれ、石原大臣が十一月十三日におっしゃっていた「その理由は簡単でございまして、人事院も天下っているんですね。」という理由とは全く合わないわけですよ。

 石原大臣、この件に関してはどういうふうに今御説明いただけますか。

○石原国務大臣

 もうこれは委員も御承知のことだと思いますけれども、特殊法人等々は営利企業への再就職に関する現行の規制の対象外ですけれども、国民の皆様方は、営利企業に行こうが、特殊法人の総裁に行こうが、公益法人の理事長に行こうが、天下りという大きなカテゴリーの中で見ているという意味でございます。

○中村(哲)委員

 委員長、私、今の御答弁は答弁になっていないと思うんですね。これはどのように聞いたらいいんでしょうか。

○石原国務大臣

 実は、営利企業への天下りの問題についてはこれまでもいろいろな取り組みというものがなされてきたんですけれども、どちらかといえば、特殊法人あるいは公益法人への天下り、ここ数年の議論の中で、わたりという言葉、私も初めて聞いたわけですけれども、二年ずつぐらい、理事長、社長あるいは総裁をぽんぽんぽんとやって退職金を取る、そういうものにインプットされて公益法人、特殊法人があるということで、一昨年、十三年の末ですけれども、公務員制度改革という大綱を決定したわけです。

 そこでやはり、国民の皆さん方の、天下り、特に特殊法人に対する天下りの最大の問題意識というものは、仕事の割に退職金が多いんじゃないかとか、給与が高いんじゃないか、そういうことがあったわけでございます。ですから、そういうものを、退職金は三割削減する、これも前回同じような議論がございまして、三割じゃ少ない、じゃ五割ならいいのかというような議論もございましたけれども、行政改革、この天下りに対する批判に対しては、いきなりゴールには行き着かないわけですけれども、ステップを積んでいって、国民の皆様方の批判にたえる。役員の給与も高いということでありますので、これも削減する。

 あるいは、退職公務員の法人及び子会社への役員の就任状況、こういうものも、実は公にされていなかったわけですけれども、公にしていく。さらに、先週の金曜日でございますけれども、七日に法案を提出させていただきましたけれども、役員出向制というものを入れることによって退職金の二重取りといったような批判にたえる。

 あるいは、公益法人改革に関して申しますと、公務員の方々が天下っている、一体どこまで勤めた方がどこの公益法人のどういうところに勤めているのか、こういうことが全然公にされていなかったわけですけれども、こういうものも公にしていこう、すなわち情報を公開する。あるいは、国と特に密接な関係にある公益法人については、さっきも言いましたように、自分が役人のときよりも高くならないということを指導する、あるいはこれに関する規定を公表するなどなど、初めてこういう抜本改革、国民の皆様方の御批判であるところの天下りの、特殊法人あるいは公益法人への天下りに対する抜本改革というものを実は示させていただいたわけであります。

 結果といたしまして、権限、役人の方がそういうところに行く理由は、やはり役人のときに培った権限とか、あるいは後輩がいるとか、そういうものを持って再就職するわけですけれども、そういうものを是正していくということに実は取り組んでいるわけであります。

 先ほども言いましたように、いろいろな批判が出てきますし、退職金も三割削減しました、給与も一割削減しましたけれども、決してこれはゴールではない。批判に謙虚に耳を傾け、鋭意この問題をクリアにしていかなければならない。

 しかし、忘れてならないことは、やはり職業選択の自由ということも忘れてはなりませんし、過度に一遍に再就職することによって、一年間違うだけによって条件が余りにも変わってしまう、こういうものにもやはり配慮していくということが政治として私は必要だと考えております。

○中村(哲)委員

 マスコミの皆さん、政策新人類と呼ばれた石原大臣の今の姿がこのような状況でございます。聞いたことに真っ正面に答えようとしない、役人が書いたペーパーをそ
のまま読むだけ、これでは政治主導の実質的な議論なんかできるはずがありません。私は、この質問取り、問題になっている中でもかなり丁寧に質問取りに答えましたよ。誠意を持っ
て答弁に臨むというのが政府のあるべき姿なんじゃないですか。

 ちゃんと聞き取れなかったようですから、もう一度議事録から読んで、お話をさせていただきましょう。

 石原大臣は、こう言っているんですよ。「官僚の方が特殊法人並びに今度の独立行政法人に移るということでございまして、この件につきましては、人事院はアンタッチャブルでありま
すし、これからも関与したくないと総裁が申しておりました。その理由は簡単でございまして、人事院も天下っているんですね。」こうおっしゃっているんです。

 そして、私は、先ほど人事院総裁にお聞きしました。天下っているから関与できないのか、もし政治の大きな方針で人事院が関与すべきだということになったら、人事院はできますか、
そうお聞きしたんです。

 中島人事院総裁、繰り返して申しわけございませんけれども、石原大臣に人事院総裁が石原大臣がおっしゃっていたような意味で言ったのかどうか、もう一度その点をお聞かせくださ
い。

○中島政府特別補佐人

 それは私たちの考え方の根拠にはなっておりません。関係ございません。

○中村(哲)委員

 この点について、石原大臣、この十一月十三日の発言、撤回されますか。いかがですか。

○石原国務大臣

 私は、そのように議論の中で感じたので、感じたままを政治家の言葉で申し述べたわけでございます。

○中村(哲)委員

 人事院総裁、今の石原大臣の答弁に対してはどのようにお感じになりますか。石原大臣も感じたとおっしゃっていますから、人事院はどうお感じになりましたか。

○中島政府特別補佐人

 これは、石原大臣がそのようにお感じになったということについて私が感じを申し上げるというのはちょっと不正確になりますので、石原大臣がそのようにお感じになったというのなら、それをそのままお聞きするということだと思います。

○中村(哲)委員

 これ、石原大臣の感じ方というのが非常に問題なんですよ。

 というのは、社会福祉事業団という特殊法人の議論をしているときに、天下り問題を山井議員が指摘しているんですよ。そのときに石原大臣がこのようにお答えされているんですよ。

「ただいま御指摘をされておりました問題は現行制度の中で起こった問題であって、大変けしからぬことだと思います。ですから、営利企業への再就職を厳しくするために、人事院がこのようなことをやっていましたので、これだけ批判が出るのに何ら有効な手だてを打てませんので、政府として腰を上げたということでございます。」このようにおっしゃっているんです。

 しかし、特殊法人に関しては人事院はアンタッチャブルなんです。これは石原大臣おっしゃっているとおりです。ここは、何で人事院がアンタッチャブルだという石原大臣の答弁が出てきたかというと、山井議員が、違いますよ、今は特殊法人の問題をやっているんですよ、議論をやっているんですよ、営利法人のことを言っているんじゃないですよ、営利法人のことを答弁されても困りますよという趣旨のことを言っているから、後でアンタッチャブル発言が石原大臣、出てくるんですよ。

 感じる、感じて発言する。この国会、いつも論理的に発言するのではなく情緒的になっているという批判がありますよね。質問取りにもきちんと答えているにもかかわらず情緒的な発言をするような大臣では、私たち議論することはできませんよ。

 いかがですか。感想でいいです、お聞かせください。

○石原国務大臣

 感想はまさに人間の感情でございますので、今の委員の御指摘からいうと、私がそれを述べるのはままならぬということでございますので、控えさせていただきます。

○中村(哲)委員

 今、感情は答えないということなら、それでは本当に論理的な議論をしましょう。

 特殊法人等への再就職には人事院はアンタッチャブルですね。ということは、どういう意味ですか。

○石原国務大臣

 この点につきましては、先ほど御答弁申しましたように、現行の規制の対象外になっているということでございます。

○中村(哲)委員

 現行の制度の対象外になっているということですよね。ということは、昨今の特殊法人や行政法人に対する再就職、つまり天下りへの厳しい批判というのは、それを厳しく取り締まることができなかった各大臣に問題があるということではないですか。

○石原国務大臣

 先ほども申しましたように、特殊法人あるいは公益法人等々に対する国民の皆様方の天下りに対する批判というものは、いろいろなものがやはりあると思うんですね。退職金が高い、あるいは給与が高い、あるいは、これはいい例かどうかわかりませんけれども、十時ぐらいに来て、新聞を読んで、御飯を食べて、三時ぐらいに帰っちゃう勤務状況。すなわち、その人の能力、仕事に合った給与をもらっているんだか、そのとおりの仕事をしているのかしていないのか、こういうところが実は不明瞭であった、こういうものをやはり公にしていく必要があるということで、今回改革に取り組ませていただいているわけでございます。

○中村(哲)委員

 質問に正面から答えないようであれば、もう一度、それでは聞き方を変えましょう。

 今問題になっているのは、大臣承認制を維持するのか、それとも内閣一括管理をすべきなのかということでございます。私たち民主党初め野党は、人事院で一括管理をすべきなのではないかというような法案も提出させていただきました。しかし、次善の策として、内閣一括管理でもいいでしょう。人事院は内閣一括管理がいいと言っている。しかし、今の政府の方針では、そうではない、大臣承認制にすべきなんだと。だからこそ、私は先ほどの質問で、大臣承認制というところに問題があるのではないですかということをお聞きしたわけです。

 その点に限って、またお聞きいたします。いかがですか、石原大臣。

    
〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

○石原国務大臣

 この点につきましては、当委員会あるいは内閣委員会、また記者の方々からの質問から、また世間の評判から、さまざまな意見が出ているということは十分に認識をしております。

 私、年頭の記者会見でも申したんですが、よりよいものがあるならば柔軟に考えていかなければならないし、今回の公務員制度改革は、公務員の皆様方が皆様方自身の手で皆様方のためにやる改革であってはならない、こういうふうに考えております。

 そして、誤解がありますのは、行為規範を重ねるとか、内閣が総合調整機能を持って当たるとか、二重三重になっておりますけれども、十分に説明が至っていないという点も認識をしております。ですから、内閣として、総合調整機能というものを持っているわけでございますので、こういうものを十分に機能させる方法というものをこれからも真剣に検討させていただいているところでございます。

○中村(哲)委員

 つまり、総合調整機能があるから内閣一括管理しているのと同じことだということをおっしゃっているわけですか。

○石原国務大臣

 大臣承認制の運用についても、内閣官房の総合調整機能がいかに機能することができるのかできないのか、また、どうしたらよりよいものになるのかということを、今、鋭意検討させていただいているところでございます。

○中村(哲)委員

 人事院は、はっきり自分たちの立場を言っているわけですよ。それに対して石原大臣は、検討しているだけ、検討していると言うだけじゃないですか。実質的な議論は国会の現場でできないということになりますよね。そんな不誠実な対応でいいんですか。国会軽視じゃないですか。

 さらに、石原大臣の答弁がいかにいいかげんなのか、今度は営利企業の問題に移らせていただきます。

 石原大臣、今は人事院のチェックが入るわけですよね、営利企業への再就職には。先ほど中島人事院総裁は、人事院のチェックを外すということにはデメリットもあるけれども、内閣に移すべきだ、そこで管理をすべきだというふうにおっしゃっていました。その論点について議論をさせていただきます。

 先日、去年の十一月十一日の質問に対する答弁なんです。石原国務大臣は、「所管大臣は、内閣が定めた承認基準に基づいて、内閣の総合調整のもとに再就職の承認を行う。各大臣がリスクを背負うことによりまして、野方図な天下りというものを是正しようというように、二重にも三重にも厳しくした内容でございます。」こうおっしゃっているんです。これは、先ほど石原大臣がおっしゃった答弁もここにそのまま当てはまりますね。

 それに対して、中島人事院総裁はこのようにお答えになっています。「ちょっと石原大臣の御答弁には誤解があると思います。現在の天下りの法律を読んでいただきますと、各大臣が申請してこられて人事院が審査をしているということでございますので、それぞれの大臣が申請する前にきちんとチェックをなさればふえることはない、そこのところをしっかり認識していただきたいというふうに思います。」こういうようにおっしゃっているんですよ。

 つまり、今現時点でも、各大臣がチェックをして、その後で人事院も基準に基づいてチェックをして、ダブルチェックで営利企業への再就職というのが認められているんです。その人事院のチェックを外すということに今回の政府の方針はなるじゃないですか。だから、ここで石原大臣はかなり論理的に矛盾したことを言っているんですよ。石原大臣、どのようにお考えになりますか。

○石原国務大臣

 人事院は、これまで公務員の人事制度等々で重要な仕事をしていただいてまいりましたし、これからも重要な仕事をしていっていただきたい。その観点から、悪いことがあれば政府に対して勧告をしていただくように仕組ませていただいております。

○中村(哲)委員

 人事院総裁、今の御答弁をお聞きになって、人事院総裁はどのようにお考えでしょうか。

○中島政府特別補佐人

 石原大臣は、総合的というか総括的な答弁をなさったんだというふうに思います。

 現在の制度の仕組みというのは、法律に書いてございますように、人事院が基準を決める、その基準を各省によく御連絡申し上げて、各省はその基準にのっとった審査をしていただいて人事院の方に承認申請される、その上で人事院は行政の公正中立性の確保というような点も含めまして最終的に判断する、そういう仕組みになっておりますので、そこのところを各省にしっかり御認識いただきたいなというふうに思います。

○中村(哲)委員

 私は、やはり独立した行政機関である人事院の立場というのは尊重しないといけないと思うんですよ。

 しかし、石原大臣は十一月十三日にこのようにお答えになっています。人事院が信用できるかどうかということに対して石原国務大臣は「七十人が十人になるならば信用いたします。」このような、私は人事院にとっては非常に失礼なことをおっしゃっていると思うんですが、石原大臣、どのようにこれはお考えになったんでしょうか。

○石原国務大臣

 大分前のことでございますので正確には覚えておりませんが、不愉快な思いをいたしましたので、そのようなきついことを言ったのかと存じます。

○中村(哲)委員

 不愉快に思ったというのは、人事院に対してですか、それとも山井委員に対してですか。

○石原国務大臣

 私は、中村委員も含めて質問をいただいてくださる先生方に対しては絶えず敬意を持って自分の思っていることを述べておりますので、委員が御指摘になったようなことはなかったと存じます。

○中村(哲)委員

 人事院に対してだと考えてよろしいんですか。

○石原国務大臣

 大臣という職責は意外に忙しくて、昨日何を食べたか本当に覚えていないぐらいでございますので、冒頭申しましたように、詳しくは覚えておりません。

○中村(哲)委員

 人事院総裁に伺います。

 この「七十人が十人になるならば信用いたします。」という御答弁に対しては、現場にいらっしゃってどのような意味で言われたと御記憶されていますか。

○中島政府特別補佐人

 審査基準というのを、今度の大綱では人事院ではなしに内閣の方でお決めになるということを考えておられるようでございますので、その審査基準というものがそういう厳しい審査基準になるのかなというふうに伺っておりました。

○中村(哲)委員

 人事院総裁は非常に苦しい答弁をされているわけですよ。それは何でかというと、人事院と内閣はある意味共同してこの天下り問題に取り組まないといけない、だから人事院はばかにされても内閣との信頼関係を崩してはならない、そういった意味で、苦しい答弁しかできないわけですよ。

 石原大臣、きのうの御飯もわからない、確かにそうでしょう、お忙しいんだから。そういうことはそうでしょう。しかし、人事院に対してどのようにお感じになっているのかという基本的な認識を聞いているわけです。議事録に残っていることです。どのように考えて論理的に政策を作成しているのか、それについて私たち国会議員は大臣に質問をしているわけでございます。だからこそ、人事院に対する認識を先ほどからお聞きしているわけでございます。

 人事院に対する考え方、もう一度、一言でいいですから、今どのように考えておられるのか、お聞かせください。

○石原国務大臣

 先ほど来、人事院に対しての私の見解というものは先ほどもはっきり申し述べさせていただきましたので、つい先ほどのことでございますので、中村委員は覚えていらっしゃると思います。

○中村(哲)委員

 論理的な話をしているわけです。感情論でそのような議論をしないでください。

 では、先ほどの「七十人が十人になるならば信用いたします。」という人事院に対する発言は、これをどうされますか。撤回されますか。それとも、まずいことを言ったなと思いますか。その認識だけお聞かせください。

    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕

○石原国務大臣

 先ほど来、人事院がこれまでの人事行政において重大な役目を担ってきましたし、これからも重大な使命を担っていただきたいと人事院に対することをはっきりと申し述べているのに、それを何度も聞かれましたので、先ほどああいう御答弁をさせていただいたわけです。

○中村(哲)委員

 ということは、この「七十人が十人になるならば」という発言は人事院を批判したものではないということですね。

○石原国務大臣

 事実を申し述べただけでありまして、そのとき私が何を考え、どう思ったかということは、十一月のことでございますので詳しく覚えていないともう答弁させていただきました。

○中村(哲)委員

 委員長、こんな議論のやりとりはすごく不毛だと思うんですね。国権の最高機関である国会で、それも予算委員会でこのような質問をする。大臣に対して指導していただけませんか。

○藤井委員長

 いま一度、石原伸晃国務大臣、御答弁をお願いいたします。

○石原国務大臣

 委員の御指摘は、多分こういうことを委員が考えているんじゃないか、これは違ったら申しわけないんですけれども。

 私が今行革事務局を所掌している、その中で公務員制度改革をやっている。そして、人事院というものがこれまで公務員の制度設計あるいは人事院勧告等々と重要な役割を担ってきた。もちろん、これも議論になったことですけれども、労働基本権の制約についてもこの人事院の存在というのが非常に大きい。そういうものが、委員の御指摘は、実は今うまく人事院とやっていないんじゃないか、だから私が十一月の議論でいろいろなことを言ったんじゃないか、そういう御質問ではないかと今聞いていて感じたんです。

 これも議論したんですけれども、人事院は内閣が所轄するですか、独立した存在ですよね。ですから、委員も御指摘のように、考え方は違っていいわけです。私が人事院から批判されることもあるし、行革事務局が人事院と議論をする。議論をすれば、意見が違うわけですから、批判することは互いにあって当然ですよね、ある方が当然である。しかし、公務員制度改革は、内閣の総合調整のもとに実は行革事務局というのをつくったわけですね。そして、内閣官房に事務局を設置して、そこには人がいないわけですから、各府省から人が来ている。人事院も、今四十四名のうち十八人来ているわけですね。ですから、まさに内閣全体の取り組みとしてスタートをしておりますし、現在も意見を交わし合っている。

 その中で、先ほど委員は、検討しているというのがけしからぬというわけですけれども、議論を、ディスカッションして検討している最中であります。ですから、違う意見が出てくるということは当然でありますし、公務員制度改革大綱というものは閣議決定したんですね。閣議決定するということは、関係府省庁がそれでいいよと言っているということは当然のことであります。

 そして、今、内閣官房が中心となって、さらに関係府省庁と連絡をとりながら、もちろん人事院も入っておりますけれども、緊密に調整を行いながら、この公務員制度改革大綱が、先ほど申しましたように、公務員の皆さん方が公務員の皆さん方の手によって、先ほど来議論の出ている、天下りしやすくするとか、自分たちの老後はもう早くやめて特殊法人に行って楽するんだとか、そういう批判にたえられるものにしていかなければならないという気持ちを持って今取り組んでいるとぜひ御理解いただきたいと思います。

○中村(哲)委員

 何か、非常に水かけ論みたいな話になってきましたね。

 私は、石原大臣がおっしゃっているように、人事院と内閣がうまくいっていないんじゃないかというようなことを考えているわけではございません。そういう感情論をお話ししているわけではございません。論理的な話として、今見解の違いがある。この間の内閣官房長官の十一月十三日のお話の中でも、立場の違いがあるというのはそれはあっていい、そういうものなんですということをおっしゃっていまして、そこは、私もそれは認識しております。

 しかし、ここでお聞きしたいのは、その違いがどういう理由に基づいているのか、そして、その人事院からの批判、人事院とは考え方が違うということに対する理由づけ、それに対して、内閣の方が実質的にどういった理由で人事院の意見は私たちの考えとは違うのか、その実質的な内容を議論する必要があるということで申しているわけでございます。だから、検討中だから実質的な議論をしたくはないと石原大臣がおっしゃっているのなら、まあ、それはそれで一つの立場としてわかります。

 石原大臣、もう一度お聞きしますけれども、検討中だから、実質的な議論、人事院の批判に対する実質的な理由づけというものには答えないということでよろしいんですか。

○石原国務大臣

 申しわけございませんが、質問のイシューがちょっとわかりません。

○中村(哲)委員

 内閣と人事院の見解は今違うわけですよね。そして、人事院の批判に対して内閣はどのようにお答えになるのかとお聞きしたら、石原大臣は、今検討中ですという形式的な理由でお答えになった。しかし、国会の現場ですから、なぜ見解が違うのか、人事院が言っている内閣一括ではなぜだめだとお考えになっているのか、その実質的な理由をお聞かせ願いたい、そのことを申しているわけです。

 質問の趣旨は非常に明確だと思うんですが、委員長、私の言っていること、不明確でしょうか。

○石原国務大臣

 今のふうに聞いていただくと私も非常によくわかりました。

 先ほどはわかりませんでしたけれども、今委員御指摘になっているのは、すなわち、天下りに関して大臣承認制ということを大綱で言っているが、人事院は内閣が承認すべきであると言っている、ここに見解の相違があるけれども、そこの部分は今検討しているということを私が答弁したけれども、なぜ相違があるのかという御質問に私は聞かせていただきました。

 考え方が違う、そして、そこの部分について議論が一番あったということは先ほども申しましたし、そこでよりよい案があるのであるならば、柔軟に考えていかなければならないとも御答弁をさせていただきまして、なぜ検討中かといいましたら、今委員御指摘の点は、これだけいろいろな方が批判をされ、あるいは、人事院の総裁がこれだけ強く言われ、それなりの理由があるだろう、そういうことを含めて現在検討しているということでございます。

○中村(哲)委員

 石原大臣、もう公務員制度改革の法案を提出するかどうかというところまで来ているわけですよ。まだ検討中というのはなかなか理屈が通らないんじゃないか、そういう考え方が私はできると思うんです。だからこそ、具体的には、なぜだめなのか、内閣一括管理のどこが悪いのかということを、また、そのよりよい方法というのはどういう方法があるのか、そういうことをもう少し具体的に答えていただきたいわけでございます。

 しかし、もう時間も迫ってまいりましたし、もうちょっと個別的な話をさせていただきたいと思います。

 石原大臣は承認基準をつくるというふうに答弁されております。その承認基準というのは、それではいつまでにつくられるおつもりなんでしょうか。

○石原国務大臣

 中村委員の質問は非常に具体的で、私も答えやすくなってきたんですけれども、その前のくだりで、なぜ内閣承認制がいけないのか、いいのか。

 私一番最初に考えますのは、私は、公務員制度改革だけをやっている大臣じゃないんですね。行革相なんです。ということは、それだけの承認基準を、内閣官房あるいは内閣府でもいいのですけれども、セクションをつくって判断するには、これは非常なマンパワーが必要になるんですね。公務員を十年間で四分の一減らそうという大きなものがあるわけです。そんな中で、またどこかから人を持ってきたりする。それに一体どれだけの労力がかかるのかというのは、個別の役所のことはやはり個別の役所しかわからないわけであります。

 そういうことを今鋭意検討していて、本当に法案提出時期が迫ってきて申しわけないとは思うのですけれども、現実問題、先ほど申しましたように、公務員の人が公務員の、自分たちのためにやるような改革と言われないものを、すなわち、昭和二十三年に人事院制度ができて、抜本改革をしてこなかったわけですね。ですから、産みの苦しみというものも非常に大きい、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのです。

 そして、後段の質問は、内閣の承認基準、どういうふうに、いつつくるのかということですけれども、これも当然、このフレームがまだかっちりしたというか、今、試行錯誤、人事院の皆さんとも相談をしながらやっております。

 承認基準は、私どもとしては、政令で定めさせていただきたい。この三月末までにまとめて、それから先、政令で可及的速やかにお示しをさせていただきたいですし、承認制度の運用については、先ほど来答弁させていただいておりますように、内閣が総合調整機能を、総合調整機能というのは非常にざっくりした言葉ですので、どういうふうに、どういう権限を持って運用するかというところを詳細詰めている最中でございます。

○中村(哲)委員

 すべて政令で任せていくということですから、この政令の中身をどういうふうにつくっていくのかということを議論しないといけないわけですね。もう一事が万事この調子ですので、また公務員制度改革に関しては改めて質問をさせていただきます。

 それじゃ、次に行きます。官房長官が戻っていらっしゃいましたので、シベリア抑留者の問題についてお聞きいたしたいと思います。

 私は、先日、いわゆる北朝鮮からの脱北者問題について質問をいたしました。生活支援については、拉致被害者に対するものは昨年秋の臨時国会で特別立法ができました。そして、先日の私の質問では、脱北者に対する特別立法が必要なのではないか、検討をされるのが必要なのではないかという話をさせていただきました。それに対して安倍副長官が、個人的な見解だったと思うのですけれども、その検討の必要性についても言及されておりました。

 そこで、私は、この件について考えをめぐらす中で、戦後に発生したいわゆるシベリア抑留者の人たちへの未払い賃金の問題も解決しなければならない問題なのではないかと考えるに至りました。

 この問題については、後刻質問なさる日本共産党の小沢和秋議員がライフワークのように取り組んでいらっしゃる問題だと聞いておりますが、私のような若輩者が質問をさせていただくのは恐縮しております。しかし、私たちの世代こそ未来の世代のために、こういった戦後に起こった問題、そして日本人が日本政府から保護されなかったのではないかと言われる問題に関しては、きちんと取り組んでいかなくてはならないのではないか、そのように感じましたので、質問させていただきます。

 福田官房長官、このシベリア抑留者の問題というのは、どこの省庁が担当すべき問題なんでしょうか。

○福田国務大臣

 戦後処理問題ということで、窓口としては外務省でありますけれども、一般的にどういう援護措置をするかというようなことになりますと、厚生省、厚生労働省ですね、そういうことになるんだろうと思います。ただ、いろいろな経緯がございますので、そのケースごとに対応の仕方が違ってくる、こういうようにも理解いたしております。

○中村(哲)委員

 それでは、いわゆるシベリア抑留者の未払い賃金の問題ありますよね。裁判にもなっています。この件に関してはどこが所管すると考えたらよろしいんですか。

○福田国務大臣

 この問題も、これは以前にこの問題についての対応については、政府としての考え方というものは、これは考え方というのは決めておりまして、したがいまして、その問題についてどこが窓口になっているかということはわかりません、しかし、昭和六十三年に平和祈念事業特別基金等に関する法律、こういうものを制定して抑留者に対して対応しているということでありますので、総務省と厚生労働省、両省が共管をしている、こういうように承知しております。

○中村(哲)委員

 福田官房長官、ここがすごく重要なところでして、先ほど官房長官は、この未払い賃金の問題については所管はわからないとおっしゃったんです。ただ、六十三年の一般的な支援については総務省と厚生労働省が共管されているということをおっしゃいました。

 きちんと説明しますから聞いていただきたいんですが、このシベリア抑留者の未払い賃金の問題というのは、ほかの一般的な帰還者の問題ではなくて、シベリア地域に行かれた方が強制労働のような形、強制労働と皆さんおっしゃっていますけれども、そういう形でやった、ある種、帰還者の中でも特殊な問題なんですね。だから、そこに対する所管が決まらないと、例えば外務省に聞いたらいいのか厚生労働省に聞いたらいいのか、むしろ全体を束ねるやはり内閣の問題なんじゃないか、そのような質問の仕方がなかなかわからないというところもあって、そこの確認をさせていただきたいということなのでございます。

○福田国務大臣

 ですから、先ほど来申し上げているのは、その過程においていろいろな省庁が関与してきた、しかし、今現在、先ほど申しました平和祈念事業特別基金等に関する法律を制定し、それに基づいて対応していることについては総務省が管轄しているということでございます。

○中村(哲)委員

 私は、総務省が管轄しているのは一般的なことであることも認識しているんです。ただ、この未払い賃金の問題に関しては、一般的な問題では解決できない問題としてあるわけですよね。例えば、拉致被害者の問題について内閣官房副長官である安倍さんが担当しているのと同じように、各省庁にまたがることだから内閣で対応すべきということなのか、それとも、この未払い賃金の問題については、以後、総務省に聞いてくれということでいいのかどうか、そこの確認をさせていただいているんです。

○福田国務大臣

 この抑留者の、強制労働に従事された、本当にお気の毒なことで同情すべきものではございます、そして、この賃金未払い問題につきましては、シベリア抑留者に対して労働賃金の支払いを行う法的義務を負うということは、これはしないというのが、そこまではしないんだというのが、これが政府の見解でございます。そして、なお、平成九年の最高裁の判決も同様の見解を示している、こういうことで承知しておるわけであります。

○中村(哲)委員

 いや、しないということの決定はそうなんでしょうけれども、窓口を私は聞いているんです。内閣でされるのか、それとも外務省でされるのか、厚生労働省なのか総務省なのか、窓口がどこなのかということを聞いているんです。内閣でいいんですか、総務省でいいんですか、どちらですか。

○福田国務大臣

 この問題は、そういう政府の見解をもって、その上で、昭和六十三年の、先ほど来申し上げている、いろいろな対応をしてきておるところでございますけれども、対外的にはこれは外務省が当然担当するわけでありますけれども、国内的にはこれは総務省の担当というように考えるべきと考えております。

○中村(哲)委員

 ということは、未払い問題について抑留者の皆さんから請求をされる、その質問に対して、立法が必要なのかどうかということに関しても総務省にお聞きする、総務大臣にお聞きすればいいということですね。

○福田国務大臣

 先ほど来申し上げているとおり、この賃金の問題については、これは政府の見解としてそういうことはしないんだということになっておるわけでありますから、ですから、この問題を新たに、継続して実はあるわけでございますけれども、この問題についての窓口は、今そういう対応措置をしている総務省であるということであります。

○中村(哲)委員

 これは立法の措置が私は必要なのではないかということを考えておりますので、この件についてはまた総務省に議論をさせていただきたいと思いますが、外務省の川口外務大臣に来ていただいておりまして、対外的には外務省という窓口がある、外務省だと官房長官もおっしゃいましたので、外務省としてはこの件についてはどのようにお考えになっているのか、改めて見解をお聞かせいただきたいと思います。

○川口国務大臣

 外務省のこの問題とのかかわり合いがどういう形かといいますと、当然、ロシアとの何であれ交渉をすることがあれば、それは外務省の担当ということでございますし、また、条約の解釈ということでいえば、これは外務省が行うということでございます。

 この件は、先ほど官房長官もお答えになられましたように、まさに政府全体としてどうするかという判断が既にあるわけでございまして、外務省としてはその政府の判断に従っております、そういうことでございます。

○中村(哲)委員

 日ソ共同宣言の中で、「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、千九百四十五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。」これが根拠になっているわけですよね。

 私たち戦後生まれ、それも私は七一年に生まれたものですから、そこで最後にお聞きしたいんですけれども、普通に感覚的に考えると、我が国民がソビエト政府に持っていた請求権、これを日ソ共同宣言で放棄することになった、そうすると、国民はそのソビエトに対する請求を今度は日本政府にできるように立法化しないといけないのではないか、そう考えるのが法理的にも普通の考え方だと思うんですが、この件に関してはどのようにお考えになって政府の今の決定になるのか、その点をお聞かせいただいて、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

○川口国務大臣

 委員がおっしゃられました日ソ共同宣言の第六条ですけれども、これは、サンフランシスコの平和条約の第十九条もそうでございますが、敗戦国としての我が国の請求権、戦争請求権の放棄を定めたということで、あわせてロシアに対しても、当時のソ連ですけれども、その請求権の放棄を求めたということで、相互にやっているわけですね。これは当時の、当時のといいますか、これは一般的な戦後処理の方式であるということでございます。

 その上で、おっしゃっている問題について外務省としてどう考えるかということについては、これは先ほど申しましたように、政府が決めるということでございますし、その方針は既に決まっているということでございまして、外務省としてどうかということは、政府の方針と一体であるということでございます。


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