2002年4月8日
第154回国会 衆議院 決算行政監視委員会第1分科会

案件:平成10年度一般会計歳入歳出決算 他

[1]質疑内容   [2]質疑項目   [3]会議録抜粋


[1] 質疑内容(30分)「地方財政について(旧大蔵省所管)」

決算行政監視委員会では、再編前の旧省庁ごとに分科会を設けて、国の決算に関する質疑を行いました。

そこで、旧大蔵省の分科会において、3月5日の総務委員会の場で財務省政務官に答えていただけなかった点について、塩川財務大臣に質問をしました国債の信用度と地方債のそれが同じであれば、国債に対する市場の評価は、国と地方双方の借金693兆円をもとにしているのか、という点です。

大臣の答弁は、国の財政負担が軽いほど国債の値打ちは上がる、とのことでしたが、693兆円については、直接答えてもらえませんでした。 地方自治体の仕事のうち7割は国で決められている現状については、多い、との答弁でした。7割の割合をどう下げていくべきか、については、どれだけのサービスを行政が提供していくべきか、サービス提供のために国民はどれだけ負担すべきか、根本的な議論が必要、とのことでした。

[2] 質疑項目

1.政と官の役割分担の在り方
   1)総務委員会(2002年3月5日)における吉田財務大臣政務官の答弁内容と同政務官の任命経緯
   2)同政務官と財務大臣との答弁調整の必要性

2.地方財政計画のあり方
   1)地方公共団体の歳出の現状
   2)国の地方公共団体に対する関与の低下に向けた取組み
   3)国から地方への税源移譲問題
   4)国債と地方債の信用度及び地方債に対する市場評価

[3] 会議録抜粋

○中村(哲)分科員

 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 塩川大臣におかれましては、私の隣の選挙区でございます。私が生まれ育った生駒からトンネル一本越えて大阪方面に向かいますと、塩川さんの選挙区の東大阪となります。今、関西が非常に経済的にも地盤沈下している中で、やはりこれをどうにかしていかないといけない、地方分権をしっかりしていかないといけないなと私は思っております。そういう観点から、きょう大臣とお話しさせていただくお話によって、大阪圏の経済圏が復活するきっかけになればと私は思っております。

 さて、大臣、質疑の実質的内容に入る前に、政と官の役割分担についてお話しさせていただこうと思っております。

 というのは、先日、三月五日の総務委員会におきまして、地方財政についての議論をさせていただきました。そのときに財務省の方から来ていただいたのが吉田幸弘大臣政務官でした。

 私は、片山虎之助総務大臣とお話を、議論をさせていただいていたところ、それについて政務官はどのようにお考えですかということを聞いたときに、恐らく聞いておられなかったんだと思うんですが、その後、即答せずに、かなり慌てたように後ろの事務方の方とお話をされて、聞いていなかったんですかというような言い方を私もさせていただいたんですけれども、やっと、しばらくたってから議論が開始されたというようなことがあったんですね。何度かやりとりをさせていただいたんですけれども、聞いたことに関してきちんとした答弁が返ってこない、そういうやりとりをずっと延々としておりまして、最終的には審議がとまってしまったことが三月五日にあったんです。

 私は、これは非常に大きな問題だと思うんです。もともと、政務官という制度ができたということは、やはり国会の答弁というものを政治家主導でやっていこう、大臣が答えられないときは、出られないときは副大臣が出ていく、しかし副大臣も出ていけないときには政務官が出ていく、それがこの国会改革における政と官の役割分担、そういう趣旨だと思うんですね。そういう中にあって、政務官が話を聞いていたのかどうか、そういうふうな疑念を委員の側に抱かせるような行為を政務官がとっていく、それが本当に、この政務官の制度の制度趣旨にのっとったものなのかどうか、運営にのっとったものなのかどうか、そういうことを感じるわけでございます。

 この三月五日の総務委員会での吉田政務官をめぐる出来事、審議がとまったことも含めまして、これは塩川大臣、御存じだったでしょうか。まず、それをお伺いしたいと思います。

○塩川国務大臣 

 私は、その中村さんと政務官とのやりとりの中身は聞いていないんですけれども、要するに、委員会で相当議論があったということは聞いております。そして、速記をとめて、議論があって、結局、委員長が裁定みたいなことをされて、最終答弁を政務官がやって、それで一応は納得というか、時間が来て了承ということになった、そういうのは聞いておるんです。その中身は何であったか、私はそれは実は聞いておらないんですけれども。

 いずれにしても、政務官と副大臣というのとそれぞれちょっと役割も違いますので、そこへもってきて政務官自身も直接の担当事項をやっておるわけじゃなかったもので、あるいは吉田さんの方の答弁がうまくかみ合わなかったんじゃないか、中村さんとの間でかみ合わなかったんじゃないかな、こう思うておりまして、その点につきましてはこの委員会でいろいろと先生の思うていることを質問していただいて、財務省としてきちっとした答弁をしておきたい、こう思っております。

○中村(哲)分科員

 ぜひ大臣に、議事録がありますので、また省に帰られてからごらんになっていただきたいと思うんですよ。私が聞いた問いにきちんと答えているのかどうか。それも、総務大臣と私が議論している流れをきちんと把握して吉田政務官が答えているのかどうか。そういうふうなことを聞いていただきたいと思うんですね。

 それで、政務官が議員としての答弁だというふうなことをぽろっとおっしゃったわけなんですよ。これは非常に問題でして、政務官というのは、当たり前のことですけれども、政府の一員として政府の立場を答弁するわけです。私が、いや、それは政府としては答えられないでしょうから政務官の個人的なお考えをお聞かせくださいというふうなことを言えば、仮にそういうふうなことを言えば、そういう個人的な考えの答弁がなされるというのはあってもいいと思います。しかし、政府としての答弁を求めているときに、議員としてはこのように考えますというふうに求められていないことを答えるというものは、やはり政務官のあり方としてはいかがなものかと私は考えております。

 大臣、この政務官を選ぶときに、果たして財務大臣政務官として本当に能力があるとお考えになっていたのかどうかということをお聞きしたいんです。というのは、吉田さんのプロフィールを見ると、厚生部門に非常に造詣の深い方だというふうに聞いております。だから、厚生労働大臣の政務官になられる方ということであれば理解はできるんですけれども、いきなり畑違いの財務省にいらっしゃったんじゃないかなということを思わざるを得なかったんですよ、審議が終わった後調べさせていただいて。そのあたり、任命が、どういうふうな経緯で吉田さんが選ばれたのか、その辺についてもお聞かせいただけないでしょうか。

○塩川国務大臣

 それは委員、政務官を任命するのに基準というものはありませんけれども、今、自由民主党あるいは各政党、あなたの民主党もそうだと思うんですが、政治家をやはりいろいろな面に体験させて育てていくという方針をとっておると思うんですよ。実は私も、初当選しましたときは地方行政委員会からスタートしたんですけれども、党の指導で何と委員会の変わったの、十何カ所委員会変わっておりますし、また思わぬところの仕事をさせられたことがあります。

 そういう意味において吉田政務官も、それは専門は厚生だろうと思いますけれども、しかし、いつまでも厚生ばかりよりは建設関係も、一番大事な財務関係もということがあって、希望もしたんだろうと思います。それでそういう人事が行われたと思っておりまして、お互い、私が言うとえらいおこがましいことですけれども、三回四回当選された方々がいろいろなことを、いろいろな委員会、いわゆる素人であるけれども、そういう委員会も経験して、だんだんと要するに政治家としての経験を積んでいただけるんだと思うておりまして、これも一つの貴重な経験だ、そういうふうに私は考えております。

○中村(哲)分科員

 教育の機会ということでしたから、本当にそれはある意味正しいと思うんです。ただ、その教育の機会を与えて、その人がどういうふうに判断するか、そしてどういうふうに自分を律していくかということは、また評価を別途しないといけないと思うんですね。

 塩川大臣にお願いしたいのは、この審議を終わられてお帰りになった後、吉田政務官と三月五日の審議について、自分はどのように考えているのか、お聞きになってほしいんです。その前提としては、塩川大臣にまず議事録を読んでいただいて、どういうふうなやりとりがなされていたのか把握していただいて、それでもし問題があるのであればまた是正をしていただきたいと思いますし、ああ、これでいいんだということであれば、あれでよかったというふうにまた答えていただきたいと思うんですね。

 後日、文書でも結構ですから、そのやりとりを聞かせていただきたいというふうに思っているんですけれども、それについてのお考えはいかがでしょうか。

○塩川国務大臣

 今、一方的に中村さんのお話を聞いただけですから、一度吉田さんの意見も聞いてみまして、また機会があればお答えすることにいたします。

○中村(哲)分科員

 機会があればというのはどういう、またこういうふうな直接のやりとりがないといけないんでしょうか。それとも、質問主意書で聞いてくれということなんでしょうか。

○塩川国務大臣

 質問主意書とかいうんじゃなしに、やはり政治家同士の話として、機会を見て、また私と吉田さんの話したことを中村さんの方へお伝えするようにいたします。

○中村(哲)分科員

 この件に関しては、きちんと機会をつくってお話ししていただけるということでしたので、本当にうれしく思っております。

 私がこういうふうなことをるる申しましたのは、やはり政と官の役割分担というものをきちんとこれから考えていかないといけない、そのためには制度の運営自体もきちんとしていかないといけないということでございます。

 私も、こういうことを言うと吉田政務官の個人攻撃みたいになってしまうことになりますので、それは本当に心苦しく思っております。三月五日の答弁のときにも、吉田政務官とのやりとりにおいて彼の心証を害した点があったとしたらそれは申しわけないというふうに申させていただきました。ただ、制度自体がきちんと趣旨のとおりに運営されていないのであれば、それをきちんと是正していかないといけない、そういう趣旨で聞かせていただいたことでございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 その三月五日の質問で私が政務官にお聞きしたかったことというのは、それが聞けなかったということなんですけれども、総務大臣とのやりとりがありました。そのことをまず事前に話させていただきたいと思います。

 総務大臣に、今地方公共団体がやる仕事、これが大体七割が国が決めているというふうに聞いておりますけれども、それについて大臣、お考えいかがでしょうか。そうすると、大体七割、ちょっと読みますと、

 ○片山国務大臣 ざっと集計すると七割、こういうことでございまして、国が法律なり政令なりあるいは  省令等で決めているもの、あるいは通達で決めているもの、あるいは補助金を出して拘束しているも  の、そういうものを入れますと、地方団体の収支の七割は国の影響下にある、こういうふうに我々は  考えております。
 ○中村(哲)委員 七割という数字は多いとお感じでしょうか、少ないとお感じでしょうか。
 ○片山国務大臣 私は多いと思いますね、多いと思います。

以下議論が続いていくんですけれども、この七割という数字について、塩川大臣は多いとお感じでしょうか、少ないとお感じでしょうか。

○塩川国務大臣

 ちょうど私は平成三年、四年、自治大臣をやっておりました。そのときに私は市町村合併の推進の旗を振って一生懸命やったんですけれども、そのときに調べてみましたら、市町村のですよ、府県じゃございません、市町村の固有事務はたしか三百件ぐらいだった、行政事項として三百件近くだったと。それに対しまして、機関委任事務と団体委任事務ですね、それは合わせて約五百ほどあったと思っております。

 ところが、機関委任事務の中で相当がもう団体委任事務になっておりますので、それを見ますと、団体委任事務は本当からいえば固有事務に相当するものでございますから、まあ半々よりはちょっと上かなという感じ。

 だから、腰だめのような話でございますけれども、市町村の全行政事務の項目のうちの六割ぐらいがいわば国からの委託事業とかいわゆる機関委任事務、そういうものになると六割以上は確かにあるだろうと思っておりまして、それは、確かに市町村が国の出先機関であると言われるように思われるのは、そういうところにあると思いますね。

○中村(哲)分科員

 私が大臣にお聞きしたのは、この七割という数字が多いかどうかということで、今多いという趣旨でお答えいただいたと考えておるんですけれども、これを下げていくためにはどうしたらいいのか。総務大臣ともお話しさせていただいたのですけれども、やはり他省庁との調整みたいなものが必要なんじゃないかという答弁だったと思うんですけれども、まず塩川財務大臣に、この七割というものを下げていくべきなのかどうか、下げていくとしたらどういうふうに、やっていくべきだし、どういうふうにやっていこうとお考えになっているのか、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。

○塩川国務大臣

 文明が進んで文化が非常に広くなって盛大になっていけば、行政の事務は当然ふえていくと思うんです。私は、行政改革は、今システムの上での行政改革はやかましく言われておりますけれども、本当は行政の責任、そしてそれに対する国民の負担という問題、これを一回本当に考え直すべき時期じゃないかと思うんです。

 そのことは、ナショナルミニマムはどの程度のことが国家の責任なのか、そしてシビルミニマムとして府県並びに市町村がどれだけのサービスを提供すべきであるのか、ここをやはり考えてみて、その上で、負担がきついの緩いの、あるいは保険料が高いの安いのとかいう議論はしなければならぬのですけれども、民主主義というのは全部選挙で事が決まりますから、選挙を控えますと、どうしても政治家がポピュリズムになってまいりますね。そのことが、そういうナショナルミニマム、シビルミニマムに対して拡大されていくということ、行政事務を非常に複雑、そして多岐にして、大量化してきておると思っております。

 ですから、国と地方との行政責任を、権限を、分配を検討するとか、地方と国の役割を考えるという場合に、どうしてもそこの根本問題を一回考える必要があるんじゃないかと思っております。その意味において、私は、地方分権推進委員会等においてこの議論がもっとしっかりとなされるべきではなかったかと思うんですけれども、ただシステムの方に重点を置いた議論が先行しておったので、私はもう一度この根本に戻ってやってもらいたいなと思っております。

○中村(哲)分科員

 根本に戻って議論すべき、本当に言えば私もそう思うのですよ。これをいつまでにどのような形でやっていくのか、これがやはり小泉改革の大きな柱になるんじゃないかなと私は思います。そのあたりのところで、塩川大臣としては、この根本的な議論を小泉改革でどのように進めていくのか。いつまでに、どういうスケジュールで、どういう機関をつくって、そういうことをぜひお聞かせいただきたいわけでございます。いかがでしょうか。

○塩川国務大臣

 この問題、いつまでとかいうのは難しいと思います。

 とにかく今、市町村が、地方分権、そして権限の移譲ということをやっていまして、きのうも夜NHKで非常に熱心な討論が行われておりまして、私は終始ずっとあれを聞いておりました。結局、あのようにして国民全体が、一回、行政の責任と負担というものをみんなが考える、そういう気分がやはり出てこなければいけないのじゃないかと思うんです。

 例えば、地方選挙にいたしましても、その地方におけるいわゆる政治状況とか、福祉あるいは環境のあり方というものが真剣に検討されての投票結果というものじゃなくて、だれに任せたらいいか、やはりそういう選挙になっておるような感じがしますので、そこらが、選挙のたびごとにだんだんと行政の質の問題にもっと意識が高まってくれば、私はそういうことを政府の方から提起しても受け入れてくれると思うのですね。

 今のような状態の中で、シビルミニマム、ナショナルミニマムというものの検討をするということを言っても、なかなかそれは、もう何でもかんでもやってくれるのが当たり前やないかということになってくるので、難しいのではないかなと思いますが、そういう意識をやはり国民がしなければならぬ。その根本は、やはり国民の負担と受けるサービスというものの検討が、本当は根本であってもらいたい、こう思っています。

○中村(哲)分科員

 難しいのと違うかなという大臣の答弁は、本当に私も、ああ難しいのと違うかなと思っています。ただ、これはいつか始めぬとあかんことだと思うのですね。

 それで、国民の皆さん、どう考えておられますか、こういう根本的な議論が今必要じゃないですか、そろそろ議論を始めませんか、そういうふうに塩川大臣のお口から言っていただきますと、やはり国民の意識も変わっていくのではないか。私としては、小泉内閣の主要閣僚としての塩川大臣の、運動を始められる、そういう改革の旗手としての役割があるのではないかなと、お隣に住んでいてそういうふうに思うわけでございますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○塩川国務大臣

 近く、経済財政諮問会議それから政府税調等で、税制改正の問題が議論されます。私は、当然、そのときに国と地方との税の問題が出てくると思います。そしてまた同時に、税制改正の中で経済の活性化をどうするかということ、そうしたらまた一方において福祉財源をどうするかということが出てまいります。そういうのを見ましたら、負担の問題、これとまた負担の分け合い、役割分担、こういうのが出てくると思いますので、そういう機会を見て、今言っているような問題を提起してみたいと思っています。

○中村(哲)分科員

 この七割の問題について、問題は根本的な問題にかかわるけれども、それについて積極的に取り組んでいくという大臣の答弁だと受けとめました。うなずいていただきましたので、本当にそういう方向で進めていただきたいと思います。

 関連して二つ目の質問なんですけれども、これは税財源の移譲の問題。これも今の大臣の御答弁をお聞きする限り、この七割の問題とあわせて一緒に取り組んでいかないといけない、そういうふうにお考えになられていると受けとめましたけれども、それについて、確認までに御答弁いただきたいと思います。

○塩川国務大臣

 財源の移譲問題は、移譲という問題が実は二つの字がありまして、委任の委に譲るというのと、移す譲というのと、二手あったのです。この問題をめぐりまして、経済財政諮問会議で骨太の方針を決めるとき、相当議論が起こったんです。結局、移す譲の方に決定したわけなんです。

 そのとき、それは移すのも必要、私も自治大臣をやった経験があるから、財源の不足ということはわかってはおるのですけれども、しかし、私は、そのときに条件をつけたんです。移譲をすることによって効果が本当に出てくるようにするためには、地方自治体そのもの、府県も市町村もあわせてですけれども、それを受け入れていく、いわば規模と能力の充実というものをしてもらわないと物すごい不公平が起こってくるのではないかと。その不公平はそのままほっておいてもいいということにはならない、どこかでやはり調整をしなければならぬということ、そうすると、やはりそこには国が関与することになってくる。そうすると、何かノーエ節みたいな、繰り返しのものを続けているようなことになるのではないか。

 だから、まず市町村の能力の充実というか、規模の確定というものをやはり考えて、並行してやってもらいたいということ。それと同時に分権をしていく。いわゆる機関委任事務をやる前に、機関委任事務、先ほど申しましたように、行政の責任の明確化をあわせてやっていくということ、そういうものを総合的にやってもらいたいということを条件につけて移譲を認めていく、やっていくということをしたわけです。

○中村(哲)分科員

 わかったようなわからぬような印象がしますが、あと一つつけ足しなんですけれども、税財源の移譲のときに、よく、国債の分の債務の移譲というのを地方にしていかないといけないんじゃないかという考え方もあります。それについては、大臣、個人的なお考えで結構ですので、どのようにお考えでしょうか。

○塩川国務大臣

 それは、地方財政との関係というものは、相当やはり国が地方に対する貢献をしております。このことの一つのいい例が、今地方交付税がございますね。地方交付税の現在の借入残高が四十兆を超えておると思うんですね。

 これは、今、国がどう処理するかということは、税源の移譲の問題とか、それから地方分権、権限の移譲の問題というものと密接に関係してきておるんですね。これは今、国は一言も言っておりません。しょせんは国の責任で解決つけなきゃならぬと思いますけれども、しかしながら、それに対して地方がどれだけ分担するかということは、税源の移譲問題と非常に関係しておるということですから、そういうものを総合的に考えて、ただ、まくら言葉のように分権イコール税源の移譲、こればかり言うとったって始まらぬということになるので、そこらは我々も慎重に考えていきたいと思っております。

 いずれにしても、国と地方が円満に、両方、両輪がかみ合わなかったら、国の行く方向、くるくる回っちゃうんです。ですから、それはバランスをとってやっていかなきゃならない。けれども、そんな問題が一つはあるんだよということの意識は持っていてもらわないかぬということです。

○中村(哲)分科員

 若松総務副大臣に同じ質問をするつもりでしたけれども、今の御答弁ならば同じ答えが恐らく返ってくると思いますので、私がお聞きしたかった地方債の問題に入らせていただきたいと思います。

 片山総務大臣は、地方債について、ごんべんの保証ではないけれども、地方財政計画を初めとした地方財政の仕組みそのものを通して国が保障をしていく、債務不履行が起こらないような保障、ごんべんじゃない方の保障をしていくというふうなことをおっしゃっております。つまり、国債の信用と地方債の信用は同じだということを総務大臣は明言されているわけでございますけれども、この件について、塩川大臣、同じお考えでしょうか。

○谷口副大臣

 塩川大臣にかわりましてお話をさせていただきたいというふうに思います。

 聞いておりますと、先日も総務大臣の方がおっしゃったというように思っておりますが、地方債というのは国が地財計画で財源保障しておるということでございますので、信用力というのはすべて団体において一律であるということで、基本的に、地方債、国債の差はないというような御回答だったというように思いますが、私どももそのように考えておるわけでございます。

○中村(哲)分科員


 そのようなということですから、次に、市場の評価についてどのように考えておられるかということなんですね。

 つまり、国債発行高というのが四百十四兆円なわけですけれども、地方債も同じ信用だということになれば、発行されている国債の市場の評価というものは六百九十三兆円として考えなくちゃいけないんだという考え方も出てきますけれども、この件について、塩川財務大臣、どのようにお考えでしょうか。

○塩川国務大臣

 国債の格付とか価値というのは、私は、借金の額が幾らであるとかそういうことだけで、単純なことで決まっていないと思っております。

 まず第一に、その国の国勢、国の勢いですね、この国の勢いというものがやはり一番根源にあるんだろうと。それを受けてファンダメンタルズがどうなっておるんだろうと。ここがやはり一番中心だろうと思います。それに対しまして、経済の個々の実勢、例えば、いわゆる潜在的な生産力がどのようになっておるか、あるいは輸出入の構造はどうなっておるか、そういう個々の問題が重なってくると思っております。

 したがって、私たちはできるだけ格付が上になるようにしたい。そのためには、国のいわゆる財政負担というものが軽いほど国債の値打ちが上がるのは、これは当然ですから、そのように努めて、国債発行三十兆円と言ったのも、何か非常に国会等ではいろいろと批判を受けておりますけれども、これも国債の価格維持というか、格付維持の歴然たる一つの証拠である、こう思って、我々も今後とも国債の格付というものには非常な関心を持っていきたいと思っています。

○中村(哲)分科員

 時間が参りましたので、最後に確認だけなんですけれども、私は、格付の話というよりは、評価されるときに四百十四兆円で評価されるとお考えなのか、六百九十三兆円で評価されるとお考えなのか、その点をお聞きしたかったわけでございますけれども、その点に最後に答えていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○谷口副大臣

 国債の評価は、一般的に御存じのとおり、勝手格付と言われるように、格付会社が評価をするわけでございます。ですから、格付会社の評価基準に基づいて評価されるものであります。

 一般的な状況を見ておりますと、どうも一般政府ベースの債務残高で評価をしておるというような状況のようでございます。いずれにいたしましても、評価のあり方については我々が関知するところではございませんので、それは格付会社が評価するもので、一般的には一般政府ベースで評価しておるというふうに聞いておるわけでございます。

○中村(哲)分科員

 終わります。


質疑一覧に戻る